北野天神縁起絵巻(読み)きたのてんじんえんぎえまき

百科事典マイペディア 「北野天神縁起絵巻」の意味・わかりやすい解説

北野天神縁起絵巻【きたのてんじんえんぎえまき】

北野天満宮縁起絵巻。多くの伝本があるが,代表的なものは承久1年(1219年)起草詞書(ことばがき)をもつ承久本8巻。菅原道真の一生と死後変異,日蔵の六道巡りを描き,他本にある天満宮草創霊験はない。絵巻としてはまれな幅広の画面で,リアルな線描の上に濃彩淡彩をまぜて華麗。他に弘安1年(1278年)の奥書のある弘安本は淡彩できびしい描線を生かした秀作。同系統のものとして《松ケ崎天神縁起》などもある。
→関連項目縁起絵縁起物大東急記念文庫

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「北野天神縁起絵巻」の意味・わかりやすい解説

北野天神縁起絵巻
きたのてんじんえんぎえまき

菅原道真の生涯,死後に天満大自在天と化しての怨霊譚,また鎮魂のため京都北野に天神社が創建される由来,その信者に対する霊験譚の4点を骨子とする天神縁起を絵巻化したもの。天神縁起の本文自体は建久5 (1194) 年以前に最初の形態が存在していたが,絵を加えて絵巻としたのは 13世紀に入ってからで,中世天神信仰の隆盛に伴い数多く制作された。最古の作例は承久本 (別称「根本縁起」,国宝,北野神社) で,完成された8巻と,未完成のまま残された白描の画稿から成る。その他「北野本地」,「弘安本」 (1278) ,「津田本」 (98) ,また北野の縁起に自社の縁起を付加した「松崎天神本」 (1311) ,「荏柄天神本」 (19) などがある。

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旺文社日本史事典 三訂版 「北野天神縁起絵巻」の解説

北野天神縁起絵巻
きたのてんじんえんぎえまき

京都市北野神社所蔵の鎌倉初期の絵巻物
承久年間(1219〜22)の作と考えられる。国宝。菅原道真の事績と死後のたたりや北野神社建立の由来,およびその霊験のあらたかなことなどを描いたもの。幅の広い画面(52㎝)に岩絵具で華麗な色彩と雄大な筆致で描かれた傑作。藤原信実筆と伝えられるが不詳。

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