北極海の環境や生態系の保護、経済的かつ商業的な開発の問題に関し、先住民族を交えた意見の交換と調整を行う政府間の合議機関。略称AC。北極圏環境保護戦略(AEPS:Arctic Environmental Protection Strategy)を前身とし、1996年のオタワ宣言により設立された。事務局をノルウェーのトロムソTromsoに置く。2年に一度開かれている閣僚会合を通じて意思決定が行われ、これまではおもに環境保護に関するモニタリングやアセスメントのルールづくりについて取り決めがなされてきた。加盟国は、沿岸国であるカナダ、デンマーク(グリーンランドおよびフェロー諸島を含む)、ノルウェー、ロシア、アメリカの5か国、非沿岸国のフィンランド、アイスランド、スウェーデンの3か国で、北極圏に居住する先住民族6団体(アリュート国際協会AIA:Aleut International Association、北極圏アサバスカ評議会AAC:Arctic Athabaskan Council、グイッチン国際評議会GCI:Gwich'in Council International、イヌイット極域評議会ICC:Inuit Circumpolar Council、サーミ評議会SC:Saami Council、ロシア北方民族協会RAIPON:Russian Association of Indigenous Peoples of the North)が常任団体として参加している。また、オブザーバーとして9の政府間・地域間・議員間組織、11のNGO団体と、12の非北極圏諸国(フランス、ドイツ、オランダ、ポーランド、スペイン、イギリス、中国、イタリア、日本、韓国、シンガポール、インド)が正式に承認されている。2009年(平成21)7月からオブザーバー資格申請をしていた日本は、2013年5月に中国、イタリア、韓国、シンガポール、インドとともに承認された。EU(ヨーロッパ連合)も近く正式に承認される予定である。北極海は海底のエネルギー資源や船舶航路をめぐって国際的な関心が高く、新たなオブザーバーの参加が国際的なルールづくりにどのような影響を与えていくのかが注目されている。
[編集部]
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