日本大百科全書(ニッポニカ) 「北栄(町)」の意味・わかりやすい解説
北栄(町)
ほくえい
鳥取県中央部、東伯(とうはく)郡にある町。2005年(平成17)10月、東伯郡北条町(ほうじょうちょう)、大栄町(だいえいちょう)が合併して成立。県内有数の農業の町で、北は日本海に臨んで北条砂丘が広がり、ナガイモ、ラッキョウ、ブドウ、葉タバコなどが、南部の大山(だいせん)東麓の丘陵地帯では全国ブランドの大栄スイカなどが生産される。西日本最古のワイナリー「北条ワイン醸造所」が当地産のブドウでつくる北条ワインは高名。JR山陰本線、国道9号が東西に走り、東部を南北に北条倉吉道路(国道313号)が通じる。かつては潟湖であったといわれる北条島(ほうじょうしま)地区の島遺跡では、県下で数少ない貝塚が発見された。ほかに鹿・鳥・人物・家などの形象埴輪が出土した土下(はした)古墳群、幕末に瀬戸(せと)村の大庄屋武信(たけのぶ)家が鋳鉄製の大砲をつくるために建設した六尾の反射炉跡(むつおのはんしゃろあと)、この大砲を備え付けるため築造された鳥取藩の由良台場跡(ゆらだいばあと)(国指定史跡)など、多くの歴史遺産がある。江戸時代に鳥取藩の米倉が置かれた由良宿は、一帯の商業の中核として栄えた。大正期に桑苗農具市として始まった「ゆら市」は、フリーマーケット、イベントの充実などの模様替えを行い、現在も続く。北栄みらい伝承館(北条歴史民俗資料館)では、江戸後期から本格的に始まった砂丘開拓のあゆみが概観できる。面積56.94平方キロメートル、人口1万4228(2020)。
[編集部]