普及版 字通 「北(漢字)」の読み・字形・画数・意味
北
常用漢字 5画
[字訓] きた・そむく・にげる
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 会意
二人相背く形に従い、もと背を意味する字。〔説文〕八上に「乖(そむ)くなり。二人相ひ背くに從ふ」とあり、また日に向かって背く方向の意より北方をいい、背を向けて逃げることを敗北という。南は陽にして北は陰。墓地は多く北郊に営まれ、洛陽ではその地を北(ほくぼう)といった。
[訓義]
1. きた、陰の地。
2. そむく。また背に作る。
3. にげる、やぶれる。
4. 別と通じ、わける。
5. 伏と通じ、かくれる。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕北 キタ・ノガル・サル・ニグ・ヤブル・ソムク 〔字鏡集〕北 ニグル・ソムク・ヤブル・ノガル・ヤラル・ニグ・キタ・サル・マク
[部首]
〔説文〕に冀(き)をこの部に属し、〔玉〕になお乖(かい)を加える。冀は金文の字形によると異に角飾を加えた異相の神の形で、北に従う字ではない。のちの字形によって、角飾を北と誤ったものであろう。また乖は背の肩甲骨のつけ根の肉の形、その肉筋の象形で、二人相背く北とは、形象の意味が異なる。
[声系]
〔説文〕に北声として背・(はい)の二字を収める。背は北の後起の字。人の背面の肉で、〔説文〕四下に「脊(せき)なり」という。脊はその肉の形に従う。は卜文に北としるし、・・衛のの初文。ただ北方の北と、その筆意にいくらか異なるところがある。
[語系]
北pk、背pukは声義近く、通用することがある。(負)biu、敗beatも敗北の意に用いるが、は負戴。敗は盟誓などをしるした鼎の銘を毀敗し、誓約に背く意で、それぞれ字の原義に異なるところがある。
[熟語]
北夷▶・北裔▶・北轅▶・北音▶・北海▶・北涯▶・北郭▶・北学▶・北岳▶・北▶・北雁▶・北帰▶・北客▶・北宮▶・北▶・北曲▶・北垠▶・北京▶・北闕▶・北行▶・北荒▶・北郊▶・北朔▶・北司▶・北至▶・北寺▶・北畤▶・北室▶・北首▶・北戎▶・北渚▶・北上▶・北辰▶・北津▶・北垂▶・北陲▶・北陬▶・北征▶・北▶・北窓▶・北▶・北地▶・北庭▶・北狄▶・北斗▶・北土▶・北冬▶・北堂▶・北道▶・北馬▶・北鄙▶・北風▶・北辺▶・北房▶・北▶・北冥▶・北溟▶・北面▶・北遊▶・北洋▶・北里▶・北陸▶・北虜▶・北方▶
[下接語]
以北・河北・冀北・窺北・研北・硯北・江北・降北・挫北・塞北・朔北・城北・水北・西北・東北・逃北・北・南北・背北・敗北・幕北・漠北・奔北・有北・佯北・洛北・嶺北
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報