化野(読み)あだしの

日本歴史地名大系 「化野」の解説

化野
あだしの

阿大志野とも記し、二尊にそん院より念仏ねんぶつ寺に至る小倉おぐら山東北麓一帯の総称

徒然草」第七段に「あだし野の露消ゆる時なく、鳥部山の煙立ちさらでのみ住み果つるならひならば、いかに、物のあはれもなからん。世はさだめなきこそ、いみじけれ」とあり、「雍州府志」にも「嵯峨土人之墓処也、倭俗化字訓阿太変化無常之謂而其義相当者乎」とあって、往古は東の鳥辺野とりべの、北の蓮台野れんだいのとともに、死骸を捨てて風葬にした墳墓地である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

百科事典マイペディア 「化野」の意味・わかりやすい解説

化野【あだしの】

山城国葛野(かどの)郡嵯峨にあり,古くは風葬の地,近世鳥辺山とともに火葬場として知られた。阿太志野,徒野とも書く。今日,京都市右京区嵯峨鳥居本化野町に名が残り,境内無縁の石仏約8000を集める念仏寺がある。
→関連項目嵯峨蓮台野

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の化野の言及

【念仏寺】より

…京都市右京区嵯峨にある浄土宗の寺。華西山東漸院と号し,〈化野念仏寺(あだしのねんぶつでら)〉の名で有名。弘法大師の創建,のち法然がここで念仏をひろめ,いまの寺名に改めたという。…

※「化野」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android