勾引・拐(読み)かどわす

精選版 日本国語大辞典 「勾引・拐」の意味・読み・例文・類語

かどわ・す かどはす【勾引・拐】

〘他サ四〙
今昔(1120頃か)二四「此の郡司が家に京より(うかれ)たる女の人に勾引(かとは)されて来たりけるを」
謡曲隅田川(1432頃)「人商人に拐(かど)はされて、かやうになり行き候」
② 奪う。略奪する。
読本・逢州執着譚(1812)三「若盗人などの財(たから)をかどはしに来るにやあらんとおそるおそるうかがひ見るに」

かど・う かどふ【勾引・拐】

[1] 〘他ハ四〙
① 誘いうながす。いざなう。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
※後撰(951‐953頃)春中・七三「山風の花の香かとふふもとには春の霞ぞほだしなりける〈藤原興風〉」
私聚百因縁集(1257)三「提婆達多五百の比丘を勾引(カドヒ)象頭山に逃籠る」
[2] 〘他ハ下二〙 =かどわかす(勾引━)
幸若未来記(室町末‐近世初)「天狗がうしわかを、かどへけるよと思召

かどわかし かどはかし【勾引・拐】

〘名〙 (動詞「かどわかす(勾引━)」の連用形名詞化) 力ずくで、または、だまして連れ去ること。また、その犯人誘拐(ゆうかい)
滑稽本東海道中膝栗毛(1802‐09)三「女同士道連、ぬけ参の童まで、盗賊かどはかしの愁(うれい)にあはず」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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