勧進比丘尼(読み)かんじんびくに

精選版 日本国語大辞典 「勧進比丘尼」の意味・読み・例文・類語

かんじん‐びくに クヮンジン‥【勧進比丘尼】

〘名〙 もと紀州熊野山から派遣された熊野比丘尼(くまのびくに)諸国を勧進し歩いて、牛王宝印(ごおうほういん)を売ったことに始まり、のちに、地獄極楽絵巻物解説をしながら念仏を唱え、歌を歌って勧進した比丘尼。また、時には売春もした。歌比丘尼
仮名草子・都風俗鑑(1681)四「くゎんじん比丘尼(ビクニ)の風」

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デジタル大辞泉 「勧進比丘尼」の意味・読み・例文・類語

かんじん‐びくに〔クワンジン‐〕【勧進丘尼】

歌比丘尼うたびくに

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世界大百科事典(旧版)内の勧進比丘尼の言及

【歌比丘尼】より

…近世の下級宗教芸能者。中世の遊行宗教者である熊野の絵解(えとき)比丘尼や勧進(かんじん)比丘尼が零落したもの。ビンザサラを伴奏とした小歌などをうたい盛場に出て売色をもっぱらとしたが,春になると無紋の地味な小袖に幅広帯を前に結び,黒木綿を折った帽子を頭に脇に箱をかかえ,ひしゃくをもった小比丘尼を連れて勧進に出た。…

【勧進聖】より

…資財募集の際には念仏や作善(さぜん)の功徳(くどく)を説いたので,結果的には仏教の民間布教につながった。中世には著名,無名の多くの勧進聖・勧進比丘尼(びくに)が回国し,寺堂の創・再建のみならず唱導文学や芸能の発展にも寄与した。近世には大寺の僧による御免勧化(ごめんかんげ)が見られたが,他方勧進聖が物乞いをする門付芸人に化す現象も生じた。…

【比丘尼】より

…中世中ごろから各地を旅し,持参の熊野那智参詣曼陀羅,熊野観心十界曼荼羅,熊野本地絵巻などを絵解きして,熊野信仰と観心という仏教教理を広めていった。また勧進(かんじん)比丘尼といわれるように,各地の社寺の修復にも努めた。しかし幕藩体制が確立する江戸時代になると,回国できなくなり,村落に定着せざるをえなくなった。…

※「勧進比丘尼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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