勝見郷(読み)かちみごう

日本歴史地名大系 「勝見郷」の解説

勝見郷
かちみごう

古代の気多けた郡勝見郷(和名抄)を継承する中世郷で、浜村はまむら川の流域、勝見谷(現在の鹿野町北部から気高町中央部にかけて)一帯に比定される。「政所賦銘引付」の文明一五年(一四八三)九月二七日条に「因州勝見郷」とみえ、摂津四天王寺別院の勝鬘しようまん院領であったが、但馬楞厳りようごん(現兵庫県浜坂町)の塔頭常楽じようらく院から一〇貫文を借りた際の担保とされていた。勝鬘院はすでに同年三月二二日元利合計二〇貫文のうち一〇貫文を常楽院景芳蔵主に返済、残った分も返却しようとしたが、景芳が譴責使を当郷に入れたため、勝鬘院雑掌はこれを訴え、権利を確保するため、債務の五分の一を幕府に提出することで五分の一沙汰に転じ、同年一〇月二二日勝鬘院の権利を認める奉書が出された(賦引付)

勝見郷
かちみごう

和名抄」東急本は「勝見」、高山寺本は「波見」と記し、ともに訓を欠く。渡来人系の勝部にかかわる郷名ともされる(鳥取県史)。神護景雲四年(七七〇)の紀年のある平城宮跡出土木簡に「因幡国気多郡勝見郷中男神部直勝見麿作物海藻大贄壱籠六斤太」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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