精選版 日本国語大辞典 「勝手」の意味・読み・例文・類語
かっ‐て【勝手】
〘名〙
① 物事を行なうときなどの都合や便利。
※こんてむつすむん地(1610)三「なんぢがかってよからんやうに、かしこにぢうし、ここにすむべきなどといはんあひだは」
② (形動) 転じて、自分にとって都合のよいやり方。また、ぐあいのよいさま。
③ (形動) 自分のしたいようにふるまうさま。わがままなさま。
※多聞院日記‐天正一四年(1586)一〇月二四日「米とは八十の人と書たる間、今廿年は不レ可レ死と勝手に引き成て、夢を礼と見了」
※洒落本・二筋道後篇廓の癖(1799)一「それとも切れたくは、勝手(カッテ)にきれろ」
④ 建物の中や、場所などのありさま。また、物事のやり方。現代では、とくに、その建物、場所(物事)に慣れていて、そこでの行動のしかた(それに対する対処のしかた)が身についている場合にいう。
※虎寛本狂言・賽の目(室町末‐近世初)「私も只今是へ参ったことでござれば、諸事勝手も存ぜず」
※不言不語(1895)〈尾崎紅葉〉四「雨泄(あまもり)の音耳に付きて寝着かれず。枕為替(しか)へて、右左に勝手を直せども」
※虎寛本狂言・察化(室町末‐近世初)「扨私も是に居て御咄し申度うは御ざれ共、勝手に取込うだ事が御ざるに依て」
⑥ 暮らし向き。生計。
※多聞院日記‐天正一九年(1591)一二月二八日「五斗の地子と一石入升二合口に当年はかつてを打なをし、猶以ふとくなる由也」
※浮世草子・万の文反古(1696)一「近年何商(あきな)ひも御座なく、勝手(カッテ)さしつまり、さんざんの体に罷成」
⑧ 弓を射るときの右手をいう。〔日葡辞書(1603‐04)〕
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