動乱時代[ロシア](読み)どうらんじだい[ロシア](英語表記)Smutnoe vremya

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「動乱時代[ロシア]」の意味・わかりやすい解説

動乱時代[ロシア]
どうらんじだい[ロシア]
Smutnoe vremya

1605~13年まで続いたロシア史上の混乱時代。ロシア語でスムータ Smutaとも呼ばれる。イワン4世 (雷帝) の息子を名のるにせドミトリー1世の出現をもって始る。 05年ツァーリ,ボリス・ゴドゥノフの死後,息子のフョードルがツァーリに即位したが,かねてからゴドゥノフの政治に不満をもっていたモスクワの貴族たちは,にせドミトリーの即位をはかりフョードルを暗殺,さらに,翌年ドミトリーも殺し,貴族の名門ワシーリー・シュイスキーを即位させた。この間南部では I.I.ボロトニコフ首長とするコサック農民反乱が広がった。 07年にせドミトリー2世なる者が現れ,モスクワへ進撃。さらに北東ではポーランドの干渉戦争が起り,ワシーリーはスウェーデンに援助を依頼。 10年ポーランドのジグムント3世ワーザはモスクワの西方 190kmの地点にあるクルーシノでロシア=スウェーデン軍を破り,モスクワもポーランド軍の手に落ち,ワシーリーも退位し,捕虜となってワルシャワへ連行された。以後3年以上にわたる空位期が続いた。 12年ミーニン=スホルークと D.M.ポジャルスキー国民軍クレムリンにたてこもったポーランド軍を破り,モスクワを解放した。翌年全国会議 (ゼムスキー・ソボール ) でミハイル・ロマノフがツァーリに選ばれて動乱時代は終結した。

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