普及版 字通 「勅(漢字)」の読み・字形・画数・意味
勅
常用漢字 9画
(旧字)敕
11画
[字訓] ただす・いましめる・みことのり
[金文]
[字形] 会意
束(そく)+力(りょく)。束は禾や木の類を束ねる意。力は耒(らい)(すき)の象形。敕の俗体とされ、いま常用漢字表に勅を敕の字として用いるが、勅と敕とはもと別の字であり、金文にその両系の字がある。〔説文〕敕字条三下に「誡むるなり。地に(さ)すを敕と曰ふ。攴(ぼく)に從ひ、束聲」とする。束は束薪、これを殴(う)ってえる意で、金文の字形は多く柬(かん)に従う。柬は(ふくろ)の中にもののある形で、敕とはものを整えることをいう。整は敕に従う字である。金文に「(びんちょく)」「罰」の語があり、はまた敕に作る。〔秦公(しんこうき)〕に「民を是れ敕(ただ)す」という。勅は金文の人名にみえるのみで、その用義を知りがたい。力(耒)を清める儀礼を意味する字のようである。〔説文〕に「地にす」とは、朿(せき)の字義と誤るものであろう。勅はのち敕字の義に用いる。いま勅・敕を同一の字として扱う。
[訓義]
1. ただす、ととのえる、ととのう。
2. いましめる、つげいましめる、つげる。
3. みことのり、おしえる。
4. つつしむ、おさめる。
5. 飭(ちよく)と通じ、ととのえる。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕敕・勅 トトノフ・オホセコト・ノタマフ・ツツシム・シタガフ・ノリ・マフ・イマシム・ナマジヒ・タダス・カタシ 〔字鏡集〕敕・勅 ノタマフ・マコト・スミヤカ・イタハル・トトノフ・カウブル・イマシム・トキ・ママム
[語系]
敕thik、飭sjikは声近く、修飭の意において通用する。
[熟語]
勅意▶・勅戒▶・勅誡▶・勅喚▶・勅勧▶・勅躬▶・勅許▶・勅教▶・勅暁▶・勅警▶・勅憲▶・勅語▶・勅黄▶・勅差▶・勅裁▶・勅▶・勅旨▶・勅使▶・勅賜▶・勅書▶・勅身▶・勅信▶・勅正▶・勅▶・勅葬▶・勅断▶・勅牒▶・勅頭▶・勅▶・勅本▶・勅命▶・勅問▶・勅諭▶・勅令▶・勅▶
[下接語]
違勅・遺勅・戒勅・誡勅・匡勅・教勅・謹勅・警勅・検勅・口勅・自勅・手勅・修勅・準勅・承勅・詔勅・申勅・神勅・進勅・制勅・聖勅・宣勅・帝勅・天勅・伝勅・批勅・奉勅・密勅
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報