労働生産性(読み)ろうどうせいさんせい(英語表記)productivity of labor

精選版 日本国語大辞典 「労働生産性」の意味・読み・例文・類語

ろうどう‐せいさんせい ラウドウ‥【労働生産性】

〘名〙 投下された労働量と、その結果得られた生産量との割合。
※「佐久間ダム見学記について」について(1955)〈杉浦明平〉「古代らしさはじつは〈略〉低い労働生産性と交通の欠如とから生じる山村の未開状態の謂にほかならず」

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デジタル大辞泉 「労働生産性」の意味・読み・例文・類語

ろうどう‐せいさんせい〔ラウドウ‐〕【労働生産性】

生産物の産出量を、投入された労働量で割った比率。

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改訂新版 世界大百科事典 「労働生産性」の意味・わかりやすい解説

労働生産性 (ろうどうせいさんせい)
productivity of labor

財貨あるいは用役生産高を,その生産過程において使用された労働投入量で割った比率をいう。ごくまれにこの比率の逆数,つまり労働投入量を生産高で割った値の意味に用いられることもある。労働投入量としては延べ労働時間数が適切だが,1人当り労働時間に大きな変化のない場合には,労働者の数で近似できる。生産高は物量単位(米ならトン数,自動車なら台数)で測られることも,また価値額で測られることもある。生産高に物的生産量を用いたときは労働の物的生産性,生産額を用いたときは労働の価値生産性という。生産額から原材料費や燃料動力費等の中間的投入を控除すると,付加価値が得られる。それの労働投入量に対する比率を,付加価値生産性と呼ぶ。付加価値は賃金,地代利子利潤として,生産に参加した諸要素の所得となるので,分配問題と関連づけて労働生産性を議論するときは,付加価値生産性を用いるのがよい。

 労働生産性を規定する要因はさまざまである。資本集約度資本使用量を労働投入量で割った比率)は,その代表的要因の一つである。これは設備の機械化水準を示し,資本集約度が高いほど労働生産性も高くなる。もう一つの要因は生産技術の進歩である。より優れた技術的知識が生産過程に導入されるなら,所与の労働投入量を用いて,より大なる生産高を実現できる。労働の質も,生産性を規定する重要な要因といってよい。学校教育は種々の実用的知識を授けるばかりでなく,新しい技術に対する適応力を高め,創造力を涵養(かんよう)する。また企業内での訓練は労働者の熟練度の向上に役立つ。作業に熟達した労働者は,一定の時間内に,より品質の高い商品を,より多く生産することができる。いわゆる人的資本理論によれば,教育や訓練のための支出は人的資本に対する投資であって,これによって労働生産性が向上するものと期待されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「労働生産性」の意味・わかりやすい解説

労働生産性
ろうどうせいさんせい
labour productivity

投入労働量1単位あたりでどれだけの生産がなされるかを示す比率。一般に投入量と産出量の比率を生産性といい,労働生産性は延べ労働者数で生産量を除して算出されることが多い。しかし正確には,労働投入量は労働者数と労働時間の積の形で表わすことが必要であり,その意味から1人,1時間あたりの産出量として定義される。このほか産出量を付加価値で表示する方法 (付加価値生産性) もある。労働者の熟練度のほかに資本集約度の上昇や技術進歩とともに労働生産性は向上するが,生産関係や生産過程の結合の仕方 (たとえば分業のあり方) ,自然的諸条件,その他の要因も作用する。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「労働生産性」の解説

労働生産性

生産過程における労働の効率のこと。生みだされた生産額を投下した労働の量で割った値、すなわち労働者1人1時間あたりの生産額で示される。生産額を生産物の量で示したものを物的生産性、価格で示したものを価値生産性という。労働生産性を向上には、労働者側の事情、例えば労働者の技能・熟練度の向上のほか、さまざまの社会的・技術的要因、さらにはとくに農漁業などについては自然的条件が影響を与えるとされる。労働生産性はしばしば賃金と関連して論じられ、いわゆる生産性基準原理など、生産性の上昇率が賃上げの限界を画するものとして持ち出されることも多い。

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百科事典マイペディア 「労働生産性」の意味・わかりやすい解説

労働生産性【ろうどうせいさんせい】

生産量を労働投入量で割った比率。労働投入量は労働者数もしくは延べ労働時間で表す。就業者数で測った(平均)労働生産性は不況期に下落し,好況期に上昇する傾向にある。経営分析の際の主要な指標の一つでもあるが,国民経済の分析にも用いられる。
→関連項目分業

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人材マネジメント用語集 「労働生産性」の解説

労働生産性

・Labor productivity
・労働者1人当たりの生産量または生産額のこと。
・総最終生産額(付加価値の合計)を全労働者数で割った値を指す。
・労働生産性が高いと効率的で効果的な労働投下ができているといえる。

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人事労務用語辞典 「労働生産性」の解説

労働生産性

就業者一人当たりが働いて生み出す付加価値の割合。国の経済活動の効率性を示すデータの一つです。
(2007/7/13掲載)

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世界大百科事典(旧版)内の労働生産性の言及

【経済成長】より

…そしてこの表の基礎になっているのは,次のような技術進歩の効果を考慮した生産関数である。Y/L労働生産性K/Lは労働の資本装備率(資本集約度)である。そしてt=時間で,技術進歩が時間の経過において生起する現象であることを考慮して導入されたものである。…

【付加価値生産性】より

…付加価値とは企業がその経営活動を通じて新しく生産した価値であり,換言すれば,企業が一定期間に生産した価値からその生産のために他から受け入れて消費した中間生産物の価値を差し引いたものである。付加価値生産性には投入の内容により労働生産性,資本生産性,設備生産性など各種のものがある。しかし,付加価値を生産する最も重要な要素は労働であるから,労働生産性が最も基本的な指標とされ,これによって付加価値生産性を代表させることもある。…

※「労働生産性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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