助・扶・援・佐・輔・佑(読み)たすける

精選版 日本国語大辞典 「助・扶・援・佐・輔・佑」の意味・読み・例文・類語

た‐す・ける【助・扶・援・佐・輔・佑】

〘他カ下一〙 たす・く 〘他カ下二〙 (「た」は手で、手をさしのべて「すく(助)」意からという) わきから力を添えて、保護したりして悪い状態から救う。
① 上位のものが保護する。庇護する。
万葉(8C後)一八・四〇九四「天地の 神あひうづなひ 皇御祖(すめろき)の 御霊(みたま)多須気(タスケ)て」
源氏(1001‐14頃)若菜下「とざまかうざまのうしろみまうくるただ人は、おのづからそれにもたすけられぬるを」
② 倒れたり傾いたりしないようにする。ささえる。
※小川本願経四分律平安初期点(810頃)「天雨するが中より、余の比丘い扶(タスケ)て厠(かはや)の上に往る」
③ 傷や病気の手当をする。介抱する。また、苦境などから救い出す。
※竹取(9C末‐10C初)「旅のそらにたすけ給ふべき人もなき所に、色色のやまひをして行く方空もおぼえず」
徒然草(1331頃)五八「山林に入ても、餓をたすけ」
④ 死の危険や、苦しみから救う。
大和(947‐957頃)御巫本附載「たすくべき草木ならねど哀(あはれ)とぞ物思ふ時の目には見えける」
※玉葉(1312)釈教・二六三七「六つの道四つのちまたの苦しみをいつか代りて助け果つべき〈行円〉」
⑤ 従たる立場で、主たるものを補佐する。協力する。
書紀(720)履中即位前(図書寮本訓)「太子を扶(タスケ)まつりて、馬(みうま)に乗(の)せまつらしめて逃(にけ)ぬ」
⑥ ある物事や、その状態についてさらに助長する。促進する。
※大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)八「金を簡ひて礫(れき)を去て、玉を琢(みか)きて輝りを裨(タスク)
※風曲集(1423頃)「声をたすけ、曲を色どる音感あるべし」
⑦ 家、生活あるいは国家、伝統などを盛りたてるために力を添える。ささえる。
※源氏(1001‐14頃)明石「人のみかどにも、夢を信じて国をたすくるたぐひ、多う侍りけるを」
※安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二「ホンニサげいは身をたすけるほどの不仕合とやらで」
⑧ 金銭や物事を与えて、救う。援助する。
※米沢本沙石集(1283)七「少分盗て母をたすけばやと思計にて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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