加水ざくろ石(読み)かすいざくろいし(英語表記)hydrogrossular

日本大百科全書(ニッポニカ) 「加水ざくろ石」の意味・わかりやすい解説

加水ざくろ石
かすいざくろいし
hydrogrossular

ざくろ石の一種。加水灰礬ざくろ石(かいばんざくろいし)、ハイドログロシュラーともいう。超塩基性岩中に脈や塊状集合をなして産するほか、ロジン岩rodingite、広域変成岩、スカルン中にも産する。普通は塊状ないし粉末状であるが、まれに微細な八面体の自形結晶がみられる。化学組成上、灰礬ざくろ石に水分が加わった(ケイ酸分が乏しくなる)形のためこの名がある。加水灰礬ざくろ石には水素ケイ素より多くなったもの(H4Si)があり、その種には加藤ざくろ石(加藤石)katoiteの独立名が与えられている。一般のSi>H4組成をもつものはヒブシュざくろ石(ヒブシュ石)hibschiteという名称となった。したがって現在、加水ざくろ石の名称は加藤石―ヒブシュ石系列を表す一般名として用いる。

松原 聰]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android