(読み)こう

精選版 日本国語大辞典 「功」の意味・読み・例文・類語

こう【功】

〘名〙
努力してなしとげた仕事。働きによって成功をおさめたそのてがら。働き。いさお。くう。
※続日本紀‐文武二年(698)六月丁巳「詔贈直広壱、以壬申年功也」
源氏(1001‐14頃)末摘花「かのなでしこは、え尋ね知らぬを、重きこうに御心のうちにおぼし出づ」 〔書経‐大禹謨〕
② 良い結果を生み出すための、長い間の努力、修練、経験などの効用。転じて単なるききめの意にも用いる。→功入(い)る功を積む
※発心集(1216頃か)六「後には笛の功(コウ)つもりて並びなき上手に成けり」
※俳諧・奥の細道(1693‐94頃)山中「温泉(いでゆ)に浴す。その功有明に次と云」
③ 労働の対価として支払われるもの。労賃。また、経費をもいう。
※続日本紀‐文武二年(698)七月乙丑「於是始制笞法、令其功
今昔(1120頃か)三一「竹を取て籠(こ)を造て、要する人に与へて、其の功を取て世を渡りける」
④ 売官の任料として国家に納められる私財贖労の称で古くから見られるが、平安時代に「功」の語で広く行なわれ、国家の財源の一つ。鎌倉時代にも見られる。
※長秋記‐長承三年(1134)八月二七日「園城寺前年為山悪僧等焼亡、而公家以伯耆国功修造也」
⑤ てがらに対し、賞として与えられるもの。「功田」「功位」などと称して用いられる。
役者評判記の役者の位付けで、上上吉の上に冠せる文字の一つ。「大」と同じく、「至」の上、「白極(しろごく)」の下に位し、老功格別なものの地位の称。〔劇場一観顕微鏡(1829)〕
⑦ 旧日本軍で、武功をあげた者に与えられた栄典。功一級から功七級までの七段階に分かれ、各級に叙せられたものは、金鵄(きんし)勲章を受けた。
※良人の自白(1904‐06)〈木下尚江〉中「今ならば金鵄勲章功(コウ)一級と言ふ所なんだが」
⑧ (形動) 強く勇猛なこと。また、そのさま。剛勇
浄瑠璃・鎌田兵衛名所盃(1711頃)名所屏風「薄手もおはぬ功の武者

くう【功】

〘名〙 (功の呉音) てがら。功績
万葉(8C後)一六・三八五八「此の頃のあが恋力記し集め功(くう)に申さば五位の冠(かがふり)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「功」の意味・読み・例文・類語

こう【功】

すぐれた働き。りっぱな仕事。てがら。「を立てる」「内助の
経験や努力の積み重ねで出てくる効果。ききめ。功用。「蛍雪けいせつを積む」
金鵄きんし勲章の等級。一級から七級まであった。
[類語]功績功労手柄殊勲金字塔遺産実績成績業績成果偉業遺業勲功偉功事績足跡収穫結実実り治績偉勲巨歩

こう【功】[漢字項目]

[音]コウ(漢) (呉) [訓]いさお いさおし
学習漢字]4年
〈コウ〉
立派な仕事。手柄。「功罪功績功名功利功労勲功成功戦功年功
ききめ。「奏功
工夫。技術。「気功
〈ク〉
ききめ。ごりやく。「功徳くどく功力くりき
工夫。手段。「功夫くふう
[名のり]あう・あつ・いさ・かた・かつ・こと・つとむ・なり・なる・のり

くう【功】

手柄。功績。こう。
「この頃のわが恋力こひぢからしるし集め―に申さば五位のかがふり」〈・三八五八〉

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