力学系
りきがくけい
dynamical sysytem
空間の任意の点が時間とともに推移していくときの状況を記述する一方法。天体力学の研究から発生した概念であり,(J.)H.ポアンカレが微分方程式の定性的理論のなかで提案した。さらに「定性的理論とは軌道のトポロジカルな特徴を調べることである」として抽象化した力学系の概念をもたらした。さらに G.D.バーコフによって抽象力学系の基礎が築かれた。力学系の重要な性質の1つであるエルゴード仮説に関する研究も長く関心を集める分野となっている。
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力学系【りきがくけい】
力学系とは与えられた集合上の点が時間とともに推移していく状況を数学的に記述する一つの方法である。力学系の理論では,特異点や周期軌道の存在,軌道の挙動,軌道の大域的状態の小さな摂動による変化などがトポロジーの立場から研究される。
→関連項目位相空間(物理)|共鳴
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りきがくけい【力学系 dynamical system】
力学系とは与えられた集合上の点が時間とともに推移していく状況を数学的に記述する一つの方法である。Xを位相空間とし,φ:X×R→XはXと数直線Rとの直積からXへの連続写像で,各実数tに対し写像φt:X→Xをφt(x)=φ(x,t)により定義するとき,次の2条件が成り立つとする。(1)φ0=恒等写像,(2)φt◦φs=φs+t。tを時間とみるとき,φtはXの各点にその点のt時間後の位置を対応させる写像とみなされ,したがってφはXのすべての点の時間的な流れを記述している。
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