割算書(読み)わりざんしょ

百科事典マイペディア 「割算書」の意味・わかりやすい解説

割算書【わりざんしょ】

日本に現存する最古の数学書。毛利重能著。1622年初版。まず割算九九をあげ,そろばんによる割算の方法を説明した後,糸布の取引,面積体積,金銀両替金利,米売買,測量建築など日常生活に必要な計算を解説。毛利重能は池田輝政の臣であったが浪人し,京都で〈天下一割算指南〉の看板を出し吉田光由,今村知商をはじめ数百人の弟子を教えたと伝える。
→関連項目九九算盤和算

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「割算書」の意味・わかりやすい解説

割算書
わりざんしょ

和算の鼻祖とされる毛利重能がつくった和算書である。最古の版本は元和8 (1622) 年刊である。その表題は不明であるが,目次のところに「割算目録の次第」とあり,また内容からみて『割算書』と呼ばれている。寛永4 (27) 年,8年にも出版された。序文には,アダムイブの伝説を述べ,また中国で行われていた増減二種算,ロドリゲスの『日本大文典』にもみられる引算馬 (ひきそろばん) への言及がある。『算法統宗』に従った,そろばんを用いる割算の算法のほかに,両替に必要な算法,検地の際の面積計算,容積計算が含まれている。

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