副腎インシデンタローマ(偶発腫)

六訂版 家庭医学大全科 の解説

副腎インシデンタローマ(偶発腫)
(内分泌系とビタミンの病気)

 胃腸肝臓腎臓など、腹部の病気で画像検査(超音波CTMRIなど)を行った時、偶然、副腎腫瘍(しゅよう)が発見されることがあります。このように偶然、副腎に見つかった腫瘍を、副腎インシデンタローマ(偶発腫)といいます。近年、画像検査機器の精度が高くなり、小さな腫瘍も明瞭に描出できるようになったため、本疾患の発見頻度が増えています。

 偶然発見されたものは、すべてインシデンタローマと呼ばれるので、そのなかにはさまざまな病気が含まれます。精密検査で詳しい性状を診断して、適切な対処方法を決めなければなりません。

 副腎腫瘍の多くは良性ですが、大きな腫瘍の場合は悪性(=がん)の可能性が高まるので摘出手術が必要になります。

 一方、良性だとしても安心してよいわけではなく、ホルモンを過剰に産生する場合は、治療が必要となる場合があります。

 副腎はさまざまなホルモンを産生する臓器ですので、そこにできる腫瘍も、しばしば何らかのホルモンを産生しています。とくに、コルチゾールというホルモンを少しずつ産生する腫瘍の場合、目立った症状を引き起こすことがなくとも、数年かけて高血圧糖尿病脂質異常症高脂血症)、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などを引き起こす可能性があります。この状態は、サブクリニカルクッシング症候群と呼ばれ、手術が必要とされています。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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