刻付(読み)きざみつける

精選版 日本国語大辞典 「刻付」の意味・読み・例文・類語

きざみ‐つ・ける【刻付】

〘他カ下一〙 きざみつ・く 〘他カ下二〙
文字、印などを、ものに刻む。彫りつける。
平家(13C前)二「文字をばゑり入れきざみ付たりければ」
硝子戸の中(1915)〈夏目漱石〉五「側面に刻(キザ)み付(ツ)けた文字も全く読めないやうになってゐた」
② 忘れられないほど、心に強く印象づける。きざみこむ。
青年(1910‐11)〈森鴎外〉九「純一記憶に刻み付けられてゐた」
物事の結果を跡として深く残す。
金毘羅(1909)〈森鴎外〉「顔に絶えず苦痛の表情が現れてゐる。苦痛が刻み附けられたとでも言ひたいやうである」

きざみ‐つ・く【刻付】

[1] 〘自カ五(四)〙
① 刻んだあとがつく。
② 心に深く印象として残る。
※卍(1928‐30)〈谷崎潤一郎〉一「頭の中にY子さん以外の或る人の印象刻(キザ)みついてて」
[2] 〘他カ下二〙 ⇒きざみつける(刻付)

こく‐づけ【刻付】

〘名〙 刻限をつけること。時刻を指定すること。刻限付け。〔運歩色葉(1548)〕
浮世草子武道伝来記(1687)一「都に刻付(コクツケ)早飛脚を立くはしき状をつかはしける」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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