刺毛(読み)シモウ

デジタル大辞泉 「刺毛」の意味・読み・例文・類語

し‐もう【刺毛】

植物表皮にあるとげ状の毛。イラクサなどにみられる。
昆虫の体にある毛状の突起。また、ドクガなどの幼虫のもつ、毒腺につながるとげ状の毛。

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精選版 日本国語大辞典 「刺毛」の意味・読み・例文・類語

し‐もう【刺毛】

〘名〙
① 植物の表皮にあって細胞膜が特に厚く堅くなってできた毛。動物皮膚などを傷つけるほか折れると中からヒスタミンなどの毒物質を出すものもある。イラクサが代表的な例。
② 昆虫の体表にある微細な毛。ドクガ、イラガなどのガ類の幼虫では、毒液が入っているものがあり、毛の先端はもろく折れやすく、皮膚に刺さると炎症を起こす。これらの種では、成虫の体にも幼虫時代の毛が残っており同様に炎症を起こす。〔日本昆虫学(1898)〈松村松年〉〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「刺毛」の意味・わかりやすい解説

刺毛
しもう

生物体の表面にあって、触れたものに刺激や傷害を与える毛状突起をいう。植物の刺毛は、表皮組織に由来する毛の一種である。イラクサの刺毛では、先端部がケイ酸質化、基部が石灰化して、鋭い毛細管となっているばかりでなく、ヒスタミンやアセチルコリンなどの刺激性物質を含む。動物では、昆虫の体壁より突出したクチクラの小毛を刺毛という。ドクガなどの幼虫にある刺毛は毒腺(どくせん)をもち、毒刺(どくし)(毒針毛(どくしんもう))ともいわれる。毒刺は、尿酸ギ酸などを含むといわれる毒液を満たし、ヒトなどに触れれば皮膚に刺さって折れ、発赤や痛みを与える。

村上 彰]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「刺毛」の意味・わかりやすい解説

刺毛
しもう
bristle; hair; seta

昆虫の体表に生じる腺毛の1種。通常中空で内腔には尿酸,ギ酸などを含み,皮膚に触れると疼痛を引起す。ドクガ,イラガの幼虫などでは毒腺細胞と組合わさって毒刺となっている。

刺毛
しもう
stinging hair

植物の細胞膜が通常より厚くなった毛のこと。多くは毒物質を含む。イラクサ,カナムグラなどに生じる。

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世界大百科事典(旧版)内の刺毛の言及

【毛】より

…このような毛の流れを逆向きにたどると頭頂部で渦巻となるが,これがいわゆる“つむじ”である。【山内 昭雄】
【無脊椎動物の毛】
 昆虫の皮膚の真皮細胞から生じる細い毛状突起を剛毛setaまたは刺毛hairという。普通は中空であるが,ドクガやイラガの幼虫の毛(毒刺)には毒液が満ちていて,ヒトの皮膚に突き刺さればたやすく折れて毒液がしみ出るので,赤くはれ,はげしい痛みを感じる。…

※「刺毛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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