制詞(読み)せいし

精選版 日本国語大辞典 「制詞」の意味・読み・例文・類語

せい‐し【制詞】

〘名〙
① いましめのことば制辞。〔王建‐賀楊巨源博士拝虞部員外詩〕
※近来風体(1387)「制詞事 近代おほく禁制の詞ありといへども、いまだ其出所不分明

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デジタル大辞泉 「制詞」の意味・読み・例文・類語

せい‐し【制詞】

せいことば

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「制詞」の意味・わかりやすい解説

制詞
せいし

中世の歌道で使用を禁制している歌句。たとえば、「吉野山花のふるさと跡絶えて空しき枝春風ぞ吹く」(新古今集、藤原良経(よしつね))、「消えわびぬうつろふ人の秋の色に身をこがらしの森の下露」(同、藤原定家(ていか))、「立ちかへりまたも来て見む松島や雄島の苫屋(とまや)波にあらすな」(同、藤原俊成(しゅんぜい))などでの下線部の歌句のように、比較的近い時代の歌人が創始した、特色ある優れた表現を「主(ぬし)ある詞(ことば)」とし、また一時期流行した「心ちこそすれ」「吹くあらしかな」などの気の利いた表現をもこれに準じて、それらの使用を禁じた。藤原為家(ためいえ)の歌論書『詠歌一体(えいがいってい)』や慶融(けいゆう)の『追加』などにまとめて掲げられている。その背後には、個性的表現の安易な模倣、乱用が作品をかえって陳腐なものに堕さしめることへの警戒心があったと考えられるが、自由な表現を拘束する結果ともなった。なお、不吉な表現は禁忌の詞とよばれ、とくに宮廷周辺では避けねばならないとされるが、制詞とは区別される。

久保田淳

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普及版 字通 「制詞」の読み・字形・画数・意味

【制詞】せいし

お言葉。

字通「制」の項目を見る

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