精選版 日本国語大辞典 「利」の意味・読み・例文・類語
り【利】
〘名〙
① 利益。もうけ。とく。精神的なものにも物質的、金銭的なものにもいう。
※今昔(1120頃か)九「我、彼の馬の為に善を修せむ。汝に於ても利有なむ」
※太平記(14C後)三五「我か損は商人の利也」 〔易経‐繋辞下〕
※令義解(718)雑「凡公私以二財物一出挙者。任依二私契一。官不レ為レ理。〈略〉毎二六十日一取レ利」
※日葡辞書(1603‐04)「Riuo(リヲ) クワスル〈訳〉貸す金に高利をつける」 〔褚遂良‐請廃在官諸司捉銭表〕
③ いくさなどで、有利であること。優勢であること。また、勝つこと。勝利。
※芸大本平家(13C前)九「平家は三千余騎、御方の御勢は一万余騎。遙の利に候」 〔史記‐項羽本紀〕
④ (形動) 都合がよいこと。便利であること。また、そのさま。
※太平記(14C後)三四「軍に三の謀候べし。所謂天の時、地の利(リ)、人の和にて候」 〔易経‐繋辞下〕
⑤ はたらき。効用。〔易経‐繋辞下〕
⑥ (形動) 刃物などのよく切れること。また、人などがするどくてかしこいさま。鋭利。
り‐・する【利】
[1] 〘他サ変〙 り・す 〘他サ変〙
① 利益を得させる。ためになるようにする。
※太平記(14C後)一二「群生を利(リ)し給ふ」
② 利用する。うまく使う。
③ 救済する。罪から救う。
※四座講式(1215)十六羅漢講式「為レ利二衆生一処二火宅之内一」
[2] 〘自サ変〙 り・す 〘自サ変〙 利益がある。得になる。役に立つ。
きか‐・せる【利】
〘他サ下一〙 きか・す 〘他サ下二〙 特性をはたらかせて、特に効果があるようにする。きくようにさせる。きかす。「機転をきかせる」「幅をきかせる」
※明暗(1916)〈夏目漱石〉一七七「気を利(キ)かせた下女の〈略〉延べて置いて呉れた床を」
※自由と規律(1949)〈池田潔〉スポーツマンシップということ「酢をきかせたバター・ソースの別皿が」
きか‐・す【利】
[1] 〘他サ下二〙 ⇒きかせる(利)
[2] 〘他サ五(四)〙 特性をはたらかせる。きくようにする。
※あの時分(1906)〈国木田独歩〉「何しろ後家婆さん、大に通(つう)をきかした積で樋口を遊ばしたから面白い」
こ‐の‐しろ【利】
〘名〙 (「子の代」の意) 貸した金の利子。利息。
※書紀(720)持統元年七月(北野本訓)「若し既に身を役(つか)へらば、利(コノシロ)に役(つか)ふこと得ざれ」 〔模範新語通語大辞典(1919)〕
かが【利】
〘名〙 利益。利得。
※書紀(720)天武九年一一月(北野本訓)「若し国家に利(カカ)あらしめ百姓を寛にする術(みち)有らば」
り‐・す【利】
〘自他サ変〙 ⇒りする(利)
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