利・効(読み)きく

精選版 日本国語大辞典 「利・効」の意味・読み・例文・類語

き・く【利・効】

[1] 〘自カ五(四)〙
① その能力、はたらきが十分発揮される。よく働く。すばやく活動する。器用に動く。
※栄花(1028‐92頃)根合「『あはれきき給へる口かな』と、上達部・殿上人ほめ申給ふ」
名語記(1275)六「鞭をとりて馬をうつこと右はききたるよし也」
効能や働きが現われる。ききめがある。
※能因本枕(10C終)一六二「すぐろく打つに、敵(かたき)の采(さい)ききたる」
※今年竹(1919‐27)〈里見弴出来心芥子の利いた大根おろしと生葱とをそへて」
物事に通じている。する事がじょうずである。
※花鏡(1424)比判之事「目ききばかりにて能を知らぬ人もあり。能をば知れども、目のきかぬもあり」
浮世草子・日本永代蔵(1688)五「宮口半内と云(いふ)男は、小刀細工ききければ」
④ することが可能である。できる。「無理がきく」 〔日葡辞書(1603‐04)〕
※断橋(1911)〈岩野泡鳴〉九「汽車の利(キ)くところでないから」
⑤ 相場の騰落が、商品の値段に反映する。特に値上がりの場合にいう。
※浮世草子・傾城色三味線(1701)京「江戸大坂にきくべき物を、見立聞たて買廻しよく店(たな)にくだし」
[2] 〘他カ五(四)〙 (「口をきく」の形で)
① ものを言う。
② 仲介する。

きき【利・効】

[1] 〘名〙 (動詞「きく(利)」の連用形の名詞化)
① ききめ。効能。また、はたらき。作用。「ブレーキの利きが甘い」
※浄瑠璃・冥途の飛脚(1711頃)中「はしる三里の灸よりも小判のききぞこたへける」
福翁自伝(1899)〈福沢諭吉〉老余の半生「唯の清酒が利(キ)きが鈍いなんて」
囲碁で、石の効力。また、相手に応手を強要できることをいう。
将棋で、盤上のある駒がその性能によって勢力を及ぼしていること。また、その範囲。
[2] 〘語素〙 名詞と熟合して、そのはたらきや能力が特にすぐれている状態やそれを具有する人をあらわす。「きき腕」「目きき」「左きき」など。
※名語記(1275)六「声をこそきくに目きき、手きき、心ききのきき如何」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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