精選版 日本国語大辞典 「初」の意味・読み・例文・類語
はつ【初】
[1] 〘名〙
※日葡辞書(1603‐04)「ミヤコエ マイッタ コトワ イマ fatçude(ハツデ) ゴザル」
② 「はつもの(初物)」の略。
※大鏡(12C前)二「官物のはつをさきにたてまつらせ給めり」
③ はじめて、その遊女屋へあがること。また、その客。転じて、男女の初情交をいう。初会(しょかい)。
※歌舞伎・関東小六今様姿(1698)一「こな様とかうして居るが初でござんす」
うい うひ【初】
[1] 〘名〙
① 最初。初め。
② 「ういざん(初産)」の略。
※咄本・当世手打笑(1681)五「或女房懐妊しけるが、うゐの事なれば」
[2] 〘語素〙 名詞の上に付いて、「初めての、最初の」の意を添える。「うい冠(こうぶり)」「うい産」「うい陣」「うい孫」など。
[語誌]「うい」は「生まれて初めて」の意で、類義の「はつ」は、ある一定の周期ごとの初回、たとえば、一日、一年などにおける最初の意であることが多い。
そ・める【初】
〘マ下一〙 そ・む 〘マ下二〙 (「そめる(染)」と同語源か。補助動詞として用いる) その行為がはじまる意、また、はじめられた行為や動作の結果が長くあとに残る意を表わす。
※万葉(8C後)四・六一二「なかなかに黙(もだ)もあらましを何すとか相見始(そめ)けむ遂げざらまくに」
※源氏(1001‐14頃)帚木「忍ぶれど涙こぼれそめぬれば、折々ごとに、え念じえず」
[補注]「思いそめる」「見そめる」「乱れそめる」などの「そめる」には、「染める」の意識の強い場合がある。→そめる(染)③
ぞめ【初】
〘語素〙 (動詞「そめる(初)」の連用形の名詞化から) 動詞の連用形に付けて、その動作をはじめてすることをいう。「使いぞめ」「渡りぞめ」「書きぞめ」「弾(ひ)きぞめ」「食いぞめ」「笑いぞめ」など。
うい‐
し うひ‥【初】
〘形シク〙 幼い。また、そのような状態である。未成熟だ。
※神代口訣(1366)「稚 宇比志也」
そ・む【初】
〘マ下二〙 ⇒そめる(初)
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