初夜(読み)しょや

精選版 日本国語大辞典 「初夜」の意味・読み・例文・類語

しょ‐や【初夜】

〘名〙
① 仏語。一昼夜を六分した六時(晨朝・日中・日没・初夜・中夜・後夜)の一つ。戌(いぬ)の刻。現在の午後八時から九時頃。初更。甲夜。また、その時刻に行なう仏事。
※霊異記(810‐824)下「優婆塞初夜に思ひ疑はくは路を行く人、病を得て参宿すと思ふ」
※かげろふの日記(1937)〈堀辰雄〉「御堂で初夜(ショヤ)を行ってゐるうちに、何時なのだらうかしら、時の貝を四つ吹くほどになった」 〔李商隠‐北青蘿詩〕
② 仏名会などの夜の仏事の区分の一つ。初夜・半夜・後夜に三分し、あるいは初夜・後夜に二分する。〔西宮記(969頃)〕
③ 夕方から夜半までの称。古くは、前日の夜半からその日の朝までをいった。〔日葡辞書(1603‐04)〕 〔常建‐白湖寺後渓宿雲門詩〕
④ 誕生の当日。また、その日に擬して祝う日。〔親元日記‐寛正六年(1465)七月二二日〕
⑤ 「しょや(初夜)の鐘」の略。
※雑俳・湯だらひ(1706)「四つうって・なんのあとから初夜が鳴る」
新婚の夫婦が初めて寝床をともにする夜。
※新男女百景(1958)〈東郷青児〉昼でも夜でも養子は養子「新婚初夜は、国立公園区域になっている観光地ホテルで迎えた」

はつ‐よ【初夜】

〘名〙 その季節にはいって初めての夜。
堀河百首(1105‐06頃)冬「冬きては今宵ぞ初夜いつのまに片しく袖のさへわたるらむ〈隆源〉」

そ‐や【初夜】

蜻蛉(974頃)中「そやおこなふとて、法師そそけば

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デジタル大辞泉 「初夜」の意味・読み・例文・類語

しょ‐や【初夜】

新婚夫婦として迎える最初の夜。
六時の一。いぬの刻。現在の午後8時ごろ。宵の口。また、その時刻に行う勤行ごんぎょう。そや。
夕刻から夜半までをいう語。古くは、前日の夜半からその日の朝までをいった。〈日葡

そ‐や【初夜】

しょや(初夜)」に同じ。
「―といひしかども、夜もいたう更けにけり」〈若紫

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世界大百科事典(旧版)内の初夜の言及

【七夜】より

…さらに七夜にカオミとかコヤミマイなどといって,麩とかかんぴょうなどを持って産見舞をする例もある。宮中や公卿の古記録によると,産養(うぶやしない)といって,出生の当日を初夜,3日目を三夜,5日目を五夜,7日目を七夜,9日目を九夜として饗饌(きようせん)を設け,生児の成長を祝ったが,のちには七夜のみを祝うようになった。また鳴弦(めいげん)の儀といって,弓の弦を鳴らしてもののけをはらう儀式が行われた。…

※「初夜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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