初入(読み)はつしお

精選版 日本国語大辞典 「初入」の意味・読み・例文・類語

はつ‐しお ‥しほ【初入】

〘名〙 (「しお」は染色の時の染める回数をいう)
染物の時、最初に一度染め液の中に入れてひたすこと。ひとしお。→はつしおぞめ
② 涙のため衣服の袖(そで)の色が変わること。嘆き悲しむさまをいう。特に、恋の苦しみを詠む場合に多く用いられる。
拾遺愚草(1216‐33頃)下「このころかりの涙のはつしほに色わきそむる峯の松風
③ (染め色にたとえていう) 草木の葉が色づきはじめること。春になって萌(も)えはじめたり、秋に紅葉しはじめたりすること。
※続古今(1265)秋下・五〇三「立田山しくれぬさきのはつしほは何にそめたる嶺の紅葉は〈藤原基雅〉」

しょ‐にゅう ‥ニフ【初入】

〘名〙 はじめて手に入れること。また、はじめてはいること。〔文明本節用集(室町中)〕
信長記(1622)一下「信長卿の実撿にそなへければ、城都初入(ショニウ)軍神をぞまつられける」

しょ‐いり【初入】

〘名〙 茶会で、初座茶室に客がはいること。⇔後入(ごいり)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「初入」の意味・読み・例文・類語

はつ‐しお〔‐しほ〕【初入】

染め物を初めて染め液に浸すこと。ひとしお。
草木の葉が春や秋に色づき始めること。
「浅みどり―染むる春雨に野なる草木ぞ色まさりける」〈風雅・春中〉
涙で袖の色が変わること。嘆き悲しむさまをいう。
「いかにして袖の涙の―に染むる心の深さ見えまし」〈新千載・恋四〉

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