刈谷(市)(読み)かりや

日本大百科全書(ニッポニカ) 「刈谷(市)」の意味・わかりやすい解説

刈谷(市)
かりや

愛知県中南部、西三河(にしみかわ)地方の工業都市。境(さかい)川を挟んで尾張(おわり)の大府(おおぶ)市、豊明(とよあけ)市などに対する。江戸時代は刈谷藩2万3000石の城下町。1950年(昭和25)市制施行。1955年富士松(ふじまつ)村、依佐美(よさみ)村(一部)を編入。JR東海道本線、名古屋鉄道本線、同三河線、国道1号、23号、155号、419号が通じ交通至便。1888年(明治21)東海道本線刈谷駅、1914年(大正3)三河鉄道(現、名古屋鉄道三河線)の刈谷新駅(現、刈谷駅)ができ、1923年には豊田紡織(現、トヨタ紡織)の工場が設置された。駅周辺には近代工場群が集まり、一大機械工業団地ができ、刈谷は伝統の窯業生糸の町から機械工業の町へと脱皮した。のちに自動車の製作を始めた豊田自動織機製作所ができたのは1926年である。以降、トヨタグループ7社を中心に大工場、関連産業が集まり、工業都市として発展する。

 井ヶ谷(いがや)には愛知教育大学と洲原公園があり、近くの小堤西(こづつみにし)池には国指定天然記念物のカキツバタ自生地がある。刈谷城亀城(きじょう)ともよばれ、1533年(天文2)水野忠政(ただまさ)によって築城されたもので、城跡は亀城公園になっている。また貝塚遺跡も多く、本(もと)刈谷貝塚は県指定史跡。住吉(すみよし)町には市美術館がある。面積50.39平方キロメートル、人口15万3834(2020)。

[伊藤郷平]

『『刈谷市誌』(1960・刈谷市)』『『刈谷市誌 補遺』全3冊(1964~1968・刈谷市)』『『刈谷市史』全10巻(1989~1995・刈谷市)』


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