切穴(読み)きりあな

精選版 日本国語大辞典 「切穴」の意味・読み・例文・類語

きり‐あな【切穴】

〘名〙
歌舞伎劇場舞台に切り抜いた方形の穴のこと。幽霊、変化の出没の場面や、井戸、池の穴、せり出しなどに用いる。花道のものは「すっぽん」という。
歌舞伎幼稚子敵討(1753)六「切穴へ落ると、迫(せり)上げにて、随戸平奴の形、金比羅の樽を持出る」
板戸障子などに切り抜いた穴。
※鼠と猫(1921)〈寺田寅彦〉四「三毛出入りする切穴の傍に置いて」

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デジタル大辞泉 「切穴」の意味・読み・例文・類語

きり‐あな【切(り)穴】

歌舞伎劇場で、舞台の床を切り抜いた方形の穴。幽霊・変化へんげなどの出入りや、井戸・池などに飛び込むときに用いる。花道に設けるものは「すっぽん」という。

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百科事典マイペディア 「切穴」の意味・わかりやすい解説

切穴【きりあな】

舞台用語。舞台の床の一部を四角に切り抜いた穴。ふだんは蓋(ふた)をしておく。奈落(ならく)と呼ばれる地下室と連絡し登場人物が出入りできるのが通例で,せり設備がある場合が多い。なお花道の切穴を特に〈すっぽん〉と呼び,主として亡霊妖術(ようじゅつ)使の出没に使う。

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