分裂植物(読み)ぶんれつしょくぶつ(英語表記)Schizophyta

精選版 日本国語大辞典 「分裂植物」の意味・読み・例文・類語

ぶんれつ‐しょくぶつ【分裂植物】

〘名〙 体分裂による方法だけで繁殖する植物細菌植物藍藻植物が含まれる。

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改訂新版 世界大百科事典 「分裂植物」の意味・わかりやすい解説

分裂植物 (ぶんれつしょくぶつ)
Schizophyta

無核で,体の2分裂により繁殖する植物の総称エングラーH.G.A.Englerが設定した用語で(1892),ラン藻(分裂藻)と細菌分裂菌)がこれに属する。細胞の構造から見れば,この群は核が未分化で,ミトコンドリアや葉緑体を有せず,原核生物としてまとめられるものであるが,進化段階が同程度の植物群を集めたもので,自然分類群ではない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「分裂植物」の意味・わかりやすい解説

分裂植物
ぶんれつしょくぶつ
schizophyte

有性生殖をせずに細胞分裂によってふえる植物という意味で,具体的には,核膜で境された核をもたない原核生物,すなわち細菌および藍藻類に一致する。 19世紀末から 20世紀にかけて一般的になった H.エングラーの植物分類体系における分類区分の一つとして普及したが,現在はあまり用いられない。エングラーは,分裂植物のなかに,葉緑素を有して光合成を行う分裂藻類 (藍藻類) と,これをもたない分裂菌類 (細菌類) を区別した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「分裂植物」の意味・わかりやすい解説

分裂植物
ぶんれつしょくぶつ

細胞壁はもつが核膜で囲まれた核がなく、有性生殖もみられない植物をいう。しかし、今日ではあまりこの語は用いられない。かつてはクロロフィルの有無によって分裂藻類、分裂菌類に分類したが、現在では、それぞれ藍藻(らんそう)植物、原核菌類と別の生物群に分けられる。いずれも体制が単純で、色素体や核などの細胞内器官は分化せず、増殖は二分裂法による。

[杉山明子]

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