分子内転位(読み)ブンシナイテンイ

化学辞典 第2版 「分子内転位」の解説

分子内転位
ブンシナイテンイ
intramolecular rearrangement

有機化合物分子中にある原子または原子団が,同一分子の別の位置に移動する反応を,一般に転位反応といい,移動する原子または原子団が,その分子から完全に離れないで,一つの分子内で移動する場合を分子内転位という.ピナコロン転位ワグナー-メアワイン転位ベックマン転位など,その例は多い.これに対し,移動する原子または原子団が一度完全に分子から離れて移動する場合を分子間転位といい,オルトン転位,フリース転位バンベルガー転位,そのほか多くの反応が知られている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「分子内転位」の意味・わかりやすい解説

分子内転位
ぶんしないてんい
intramolecular rearrangement

原子または原子団が,分子内でその結合位置を変える反応。たとえばクライゼン縮合において,フェニルアリルエーテルを熱すると,アリル基が酸素原子からベンゼン核の炭素原子上に転位してアリルフェノールとなる。このとき置換アリル基をもつフェニルエーテルを混合して熱しても,アリル基の交差が起らないことから,分子内転位と決められた。このほか,ベンジル酸転位やワーグナー=メールワイン転位なども分子内転位である。

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