刀利宣令(読み)とりのみのり

改訂新版 世界大百科事典 「刀利宣令」の意味・わかりやすい解説

刀利宣令 (とりのみのり)

奈良時代文人歌人生没年不詳。刀理,土理とも書き,名は〈のぶよし〉,〈せんりょう〉とも読む。百済系の渡来氏族と思われる。711年(和銅4)対策に及第。721年(養老5)東宮(のちの聖武天皇)に侍す。時に従七位下。養老から天平初頭に至る長屋王時代に詩人,歌人として活躍した。正六位上伊予掾に至り,59歳で没した。《懐風藻》に詩2首,《経国集》に対策2首,《万葉集》に短歌2首が残る。
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朝日日本歴史人物事典 「刀利宣令」の解説

刀利宣令

生年:生没年不詳
7世紀末から8世紀前半の官人,文人。万葉歌人。姓は土理,刀理とも書く。渡来系氏族の出身で,大学寮で学んだのち官界に入ったらしく,官吏登用試験に応じた和銅4(711)年の対策文が『経国集』に収められている。生涯下級の官人として送ったが,文学の才に秀でていたようで,養老5(721)年には,詔により公務の終了後,東宮(のちの聖武天皇)に仕えて,その相手となるよう命じられた。『懐風藻』『万葉集』に詩歌各2首が残っている。長屋王とも親交があった。神亀年間(724~29)に59歳で死去した。ときに正六位上,伊予掾であった。

(東野治之)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「刀利宣令」の解説

刀利宣令 とりの-せんりょう

?-? 奈良時代の学者,歌人。
渡来系氏族の出身。養老5年(721)詔により東宮(のちの聖武(しょうむ)天皇)につかえる。「万葉集」「懐風藻(かいふうそう)」に作品がある。正六位上,伊予掾(じょう)となり,神亀(じんき)(724-729)のころ59歳で没したとされる。姓は土理,刀理ともかく。名は「のぶよし」「みのり」ともよむ。

刀利宣令 とりの-みのり

とりの-せんりょう

刀利宣令 とりの-のぶよし

とりの-せんりょう

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世界大百科事典(旧版)内の刀利宣令の言及

【刀利宣令】より

…奈良時代の文人,歌人。生没年不詳。刀理,土理とも書き,名は〈のぶよし〉,〈せんりょう〉とも読む。百済系の渡来氏族と思われる。711年(和銅4)対策に及第。721年(養老5)東宮(のちの聖武天皇)に侍す。時に従七位下。養老から天平初頭に至る長屋王時代に詩人,歌人として活躍した。正六位上伊予掾に至り,59歳で没した。《懐風藻》に詩2首,《経国集》に対策2首,《万葉集》に短歌2首が残る。【後藤 昭雄】…

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