凹版(読み)おうはん

百科事典マイペディア 「凹版」の意味・わかりやすい解説

凹版【おうはん】

凸版とは逆に,インキのつく画線部がくぼんでおり,非画線部が突起している印刷の版の形式。版の全面にインキをつけた後,非画線部のインキを除去して,凹部に入り込んだインキを紙へ転写する。写真を利用するグラビア印刷紙幣・切手など精緻な線の再現を要求される印刷に向く彫刻凹版などがある。→平版
→関連項目印刷印刷機

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精選版 日本国語大辞典 「凹版」の意味・読み・例文・類語

おう‐はん アフ‥【凹版】

〘名〙 凸版、平版とともに、印刷版式の一つ。印刷する画線部分が版の平面よりくぼんでいるもの。彫刻凹版、グラビア版の二つに大別される。
※国民新聞‐明治三三年(1900)一月二三日「銅凸版(チボクフリート)及び凹版(カルコグラフヒー)の術」

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デジタル大辞泉 「凹版」の意味・読み・例文・類語

おう‐はん〔アフ‐〕【凹版】

画線部分が版材面よりくぼんでいる印刷版。彫刻凹版・写真凹版(グラビア)などがある。紙幣・証券などの印刷に使用。→凸版
[類語]凸版活版平版石版グラビアオフセットコロタイプ

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世界大百科事典 第2版 「凹版」の意味・わかりやすい解説

おうはん【凹版 intaglio printing】

印刷するときに用いる版の一種で,彫りくぼめたところにインキをつめて印刷する方式のものをいう。平らな銅などの金属面に手彫りなどによって彫りくぼめる方法と,写真を利用して彫りくぼめる方法(いわゆる写真製版の利用)とに大別される。前者はさらに彫り方によって,ドライポイント,メゾチントなど直接金属面を彫る彫刻凹版(直刻凹版ともいう)と,版材に薬品を作用させ腐食によって彫りくぼめるエッチングアクアチントなどの食刻凹版に分けられるが,実際にはこれらの手法を混用することも多い。

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世界大百科事典内の凹版の言及

【印刷】より

…したがって,製版が最も重要な役割を占め,版式のちがいによって使用する印刷機も異なる。基本的には凸版,平版,凹版,孔版の4種の版式があり,表にその特色を示す(図1)。 インキのつく部分を残して他の部分は彫りくぼめる形の版を凸版という。…

【版画】より


[原版からみた版画]
 一般に版画は原版の形式,材質によって分類されている。凸版,凹版,平版,孔版および写真の光化学的な版形式があり,材質によって木板,金属,石板,リノリウム,絹,紙など,やはり無限に多様な材質が原版として用いられる可能性がある。ここでは一般的な主要な原版の形式について述べることにする。…

※「凹版」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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