精選版 日本国語大辞典 「凝」の意味・読み・例文・類語
こ・る【凝】
〘自ラ五(四)〙
② 水が寒さのためにかたく固まって凍る。
※書紀(720)允恭元年一二月(図書寮本訓)「季冬(しはすふゆ)の節(をり)、風亦烈(はけ)しく寒(さむ)し、大中姫(ひめ)の捧(ささ)げたる鋺(まり)の水溢(あふ)れて腕(たふさ)に凝(コレり)(〈別訓〉かひなにこる)」
③ 一つのことに熱中して、そればかりを深く思い込む。いちずに思いこむ。傾注する。ふける。のぼせる。
※洒落本・契情買虎之巻(1778)二「あんまりそのやうにこると、わづろふものだ」
④ 工夫をこらす。意匠に心を用いる。
※改正増補和英語林集成(1886)「ケンペキ カタガ koru(コル)」
こご・る【凝】
〘自ラ四〙
① 水分を含んだものが、冷えてこおる。また、かたまって固くなる。凝結する。
※万葉(8C後)一・七九「磐床と 川の氷(ひ)凝(こごり) 寒き夜を 休むことなく」
※渦巻ける烏の群(1928)〈黒島伝治〉二「吐き出す呼気(いき)が凍(コゴ)って」
② 手足がこごえて動かなくなる。また、こおったように身動きしなくなる。
※太平記(14C後)四「兵(つはもの)手凍(ココッ)て弓を控(ひ)くに叶はず」
③ かたまって集まる。また、もつれてかたまりになる。
こり【凝】
① 寄り集まりかたまること。凝結すること。固く凍ること。また、そのもの。かたまり。
② ある一つの物事に熱中すること。こること。
※洒落本・富賀川拝見(1782)辰見山楽内之段「十蔵さんといふお客だか、仲町へきつゐこりといふから、誰を呼ぶと聞たらもといくよしで」
③ 筋肉が張り、かたくなって痛むこと。肩などが凝ること。また、その部分。
※読本・南総里見八犬伝(1814‐42)八「眼病は肩癖の、凝(コリ)よりも起るといへば」
こら・す【凝】
〘他サ五(四)〙
① 凝りかたまらせる。集まりかたまるようにする。
※古事記(712)上「地(つち)の下(した)は、底津石根(そこついはね)に焼(た)き凝(こら)して」
② 一つ所に集中させる。心を集中させて事を行なう。専心する。
※南海寄帰内法伝平安後期点(1050頃)一「外には俗途に順し、内には真智を凝(コラス)なり」
こごり【凝】
〘名〙 (動詞「こごる(凝)」の連用形の名詞化)
① こごること。また、そのもの。凝結。
② 魚を煮た汁をひやして固まらせたもの。にこごり。〔文明本節用集(室町中)〕
※随筆・孔雀楼筆記(1768)一「蓴菜のこごりに塩豉(えんし)などを調和せず、その儘にて食へば、なるほど酪によく似たり」
こごら・す【凝】
〘他サ四〙 こごるようにする。こよす。
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