冷凍(読み)れいとう(英語表記)freezing

翻訳|freezing

精選版 日本国語大辞典 「冷凍」の意味・読み・例文・類語

れい‐とう【冷凍】

〘名〙 食品などを、腐敗を防ぎ、貯蔵するために凍らせること。
※日本料理通(1930)〈楽満斎太郎〉料理法の巻「近来大漁の時に魚を冷凍によって貯蔵し」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「冷凍」の意味・読み・例文・類語

れい‐とう【冷凍】

[名](スル)食料品などを、腐敗を防ぎ、長期保存するために、人工的に凍結させること。「魚を冷凍する」
[類語]凍る凍て付く凍りつく凍結氷結結氷こごるしばれる凍みる凍てる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「冷凍」の意味・わかりやすい解説

冷凍
れいとう
freezing

原材料を、その氷点以下の温度に冷却して凍結状態にすることをいい、農・水・畜産品の貯蔵等によく用いられる操作である。常温以下ではあるが氷点には至らず、凍結させない状態で貯蔵する冷蔵に対して、凍結状態での冷凍貯蔵は区別して取り扱われている。

 低温・凍結状態下では、生体は冬眠的な生物活性の低い状態に置かれるのみならず、他の微生物や化学的な作用が抑制され、新鮮な状態が維持されやすい。しかし、果実や野菜などでは、ある温度以下で低温傷害を生じる場合もあるので、冷凍貯蔵温度に制限があることも少なくない。魚・肉などでは零下20~零下40℃の比較的低温が用いられるが、農産物の多くはむしろ氷点に近い比較的高温の零下数℃の温度域が用いられることが多い。

 凍結に際して、その冷却速度が緩やかであると、材料内部に生じる氷の結晶が大きく成長し、それが食品などの固有の細胞組織を破壊して、解凍したのち、その風味を損ない体液を流出させてしまうことが多い。そのため、液体窒素等の極低温寒剤を使用する高速冷凍法が開発、使用されている。これとともに貯蔵中の温度管理も重要である。貯蔵中、品温が氷点以上になり部分的融解をおこすことはもちろん、氷点以下であっても氷晶の成長を生じるような大幅な温度変動を避ける必要がある。また、凍結技術とともに、凍結品を融解して常温に戻す解凍技術も最終製品の品質に与える影響が大きく、冷凍操作にとって重要な課題である。

[河村祐治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「冷凍」の意味・わかりやすい解説

冷凍
れいとう
refrigeration

一般には食品などを凍らせることをいう。工学では,物体気体などから熱を奪って,周囲より低い温度にすること。製氷,食品の冷蔵,空気調和,化学工業用などのために行われる。冷凍方式は,液体の蒸発と凝縮,圧縮気体の断熱膨張,気体の脱着,電力を利用するペルチエ効果の利用,磁場を利用する磁気冷凍などがある。一般に液体は蒸発するとき周囲から蒸発熱を奪うので,それだけ温度が下がる。これを効果的に行うために冷媒を使用して圧縮,液化する蒸気圧縮式,蒸気噴射式がある。また機械的圧縮の代りに熱源を利用して混合液の希釈を利用する吸収式もある。気体を断熱的に急膨張させるとき低温になる現象を利用して,圧縮気体を使う気体冷凍,活性炭などの多孔性物質が,高圧,低温の状態で吸着した多量のガスを脱着する過程で得られる低温利用の冷凍方式,ペルチエ効果利用の電子冷凍などが行われている。 (→冷凍サイクル )

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「冷凍」の意味・わかりやすい解説

冷凍【れいとう】

ある閉じられた室,容器などの中の温度を,その周囲の温度より低くすること。冷房などを含むが,特に食品や原材料を−15℃以下に冷却して凍結・貯蔵することを冷凍ということが多い。冷凍のため低温物体から高温物体へ熱を運ぶ装置が冷凍機であるが,電子冷凍も小型機器では実用化されている。→冷蔵

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

普及版 字通 「冷凍」の読み・字形・画数・意味

【冷凍】れいとう

氷る。

字通「冷」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

栄養・生化学辞典 「冷凍」の解説

冷凍

 食品を冷却して凍らせること.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の冷凍の言及

【コールド・チェーン】より

…外温のもとでは品質の変化しやすい生鮮食品,冷凍食品,医薬品などを,生産から消費まで一貫して低温の状態で流通させる仕組み(低温流通機構)をいう。すでに前2500年ころ,エジプトでは水の蒸発作用を利用して物資を保存しはじめているが,低温での貯蔵・輸送機能を組み合わせたコールド・チェーンの歴史は比較的新しく,19世紀末の冷凍機完成以降のこととなる。…

【水産加工】より

…明治維新後は在来技術の改良と外国技術の導入が積極的に行われ今日に至っている。 明治以降の特色は機械化が急速に進み多くの製品で大量生産が可能になったことで,そのおもなものは缶詰加工,練製品および冷凍すり身製造,調味加工品製造などの各技術で,関連するものとして製氷・冷凍技術がある。
[缶詰]
 日本における缶詰製造は,1871年(明治4)長崎の松田雅典がフランス人の指導をうけて試作したのが初めといわれる。…

※「冷凍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android