再建法(読み)さいけんほう(英語表記)Reconstruction Acts

日本大百科全書(ニッポニカ) 「再建法」の意味・わかりやすい解説

再建法
さいけんほう
Reconstruction Acts

アメリカの南北戦争(1861~65)後、議会内に設置された再建リコンストラクション)合同委員会において、共和党急進派の指導権のもとに用意され、A・ジョンソン大統領を中心とした反動勢力を制圧し、反乱諸州の民主的再建の基礎を与えた法律。1867年3月2日成立の第一次、3月23日の第二次、7月19日の第三次、翌68年3月11日の第四次再建法からなるが、一般には第一次再建法をさすことが多い。第一次再建法は、テネシー州を除く南部10州には正当な州政府はないと宣言し、南部を五つの軍管区に分割し、それぞれ1人の将軍を長に置いた。そのうえで、黒人を含む普通選挙権、南部連合指導者の公民権剥奪(はくだつ)、憲法修正第14条の承認を基礎とした臨時政府選出骨子としており、その内容は第二次以降の再建法でいっそう発展させられた。

[竹中興慈]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「再建法」の意味・わかりやすい解説

再建法
さいけんほう
Reconstruction Acts

アメリカ南北戦争後,南部の再建と連邦への復帰の条件を規定した諸法律。 1867年3月2日,連邦議会が A.ジョンソン大統領の拒否権を乗越えて制定した第一再建法と,同年3月 23日,7月 19日および 68年3月 11日の3回にわたって制定された補正的諸法の総称。第一再建法は,南部を5つの軍管区に分けて軍政下におき,各州は男子普通選挙制に基づき選挙された新州憲法制定会議を招集して,黒人の選挙権を保障し憲法修正第 14条を承認する州政府を設立することを,連邦への復帰の条件とした。補正的な諸法はその実施にあたって軍司令官に大幅な権限を与えたもの。

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旺文社世界史事典 三訂版 「再建法」の解説

再建法
さいけんほう
Reconstruction

南北戦争終結後の1867年合衆国議会により成立した,急進的内容をもつ南部再建のための法律
リンカンを継いで大統領となったジョンソンが南部との宥和を強めたのに反対し,議会は南部を5つの軍管区に分割して軍政をしき,この法律により黒人に選挙権を与えることと州政府の設立を義務づけた。

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世界大百科事典(旧版)内の再建法の言及

【財政再建団体】より

…地方公共団体の財政が多額の赤字を生じ,自力再建が困難となった場合,地方財政再建促進特別措置法(略称,再建法)により,一定条件のもとで国からの援助を得ることができる。第2次大戦後の復興期には,財政需要の急増と財源不足という基本的背景に朝鮮戦争後の不況の影響が加わり,1954年度には全地方公共団体の38.5%が赤字団体に転落した。…

※「再建法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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