内閣参議(読み)ないかくさんぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「内閣参議」の意味・わかりやすい解説

内閣参議
ないかくさんぎ

1937年(昭和12)に設立された内閣諮問機関。同年10月15日、第一次近衛文麿(このえふみまろ)内閣は、日中全面戦争に関する重要国務について諮問するため、国務大臣待遇の臨時内閣参議官制を勅令で公布し、宇垣一成(うがきかずしげ)、末次信正(すえつぐのぶまさ)、町田忠治(ちゅうじ)、池田成彬(せいひん)ら軍部政界財界、外交界の有力者10名を任命した。これは戦時国策審議機関の性格をもち、事実上、近衛内閣の閣僚補給源となった。その後、メンバーは交代し、第二次近衛内閣まで定期的に参議会が開かれたが、41年(昭和16)10月、東条英機(ひでき)内閣の成立により全参議が辞任して事実上休止となり、43年3月内閣顧問臨時設置制公布に伴い廃止された。

[粟屋憲太郎]

『内閣官房編・刊『内閣制度七十年史』(1955)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「内閣参議」の意味・わかりやすい解説

内閣参議
ないかくさんぎ

1937年蘆溝橋事件を発端とした日中戦争の新展開に対応して,第1次近衛文麿内閣が,非常時体制化に伴う内閣の政治的強化を企図して設置した国策審議機関。性格は内閣の諮問機関であり,そのメンバーは国務大臣に準じるものとされた。 37年 10月 15日臨時内閣参議官制度として公布され,宇垣一成をはじめとして,軍部,財界,外交界各方面から 10名が任命された。東条内閣成立後の 41年 10月全参議が辞任してこの制度は有名無実となり,さらに 43年3月内閣顧問制の設置により廃止された。

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