内裏式(読み)ダイリシキ

デジタル大辞泉 「内裏式」の意味・読み・例文・類語

だいりしき【内裏式】

平安前期の有職故実書。3巻。嵯峨天皇勅命により、藤原冬嗣らが撰。弘仁12年(821)成立。天長10年(833)清原夏野らが改訂宮中年中行事方式などを定めたもの。

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精選版 日本国語大辞典 「内裏式」の意味・読み・例文・類語

だいりしき【内裏式】

平安初期の有職故実書。三巻。嵯峨天皇の勅命により藤原冬嗣らが弘仁一二年(八二一)に撰進、天長一〇年(八三三)に清原夏野らにより改訂された。承和年間(八三四‐四八)の補筆部分もある。宮廷の各儀式恒例臨時二部に分けて定めたもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「内裏式」の意味・わかりやすい解説

内裏式
だいりしき

古代儀式の書。3巻。内裏で行われる恒例・臨時あわせて23の儀式の細目を記したもの。藤原冬嗣(ふゆつぐ)ら7名が嵯峨(さが)天皇の勅命を奉じて編纂(へんさん)し、821年(弘仁12)奏上した。しかし現在伝わるのは833年(天長10)清原夏野(なつの)らがさらにそれを改訂したもの。なお、嵯峨天皇のときに編纂された儀式書には別に『弘仁(こうにん)儀式』10巻があり、その内容は70の儀式の細目で本書より詳しい。また別に『内裏儀式』一巻が伝わり、本書と同文のところが多く、これら三書の関係や成立事情をめぐって江戸時代以来、諸説がある。

[今江廣道]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「内裏式」の意味・わかりやすい解説

内裏式
だいりしき

平安時代前期の宮中で行われた恒例,臨時の儀式を記した書物。3巻。弘仁 12 (821) 年嵯峨天皇の命を受けて藤原冬嗣良岑安世 (よしみねのやすよ) らが編集し,その後の変更した部分を,天長 10 (833) 年淳和天皇の命を受け,清原夏野らが修正した。貴族の必読書であったばかりでなく宮中で儀式が挙行される際には,必ず箱に納め,天皇のそばに置いておくならわしであった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「内裏式」の解説

内裏式
だいりしき

平安前期に編纂された日本最初の勅撰の儀式書。3巻。821年(弘仁12)右大臣藤原冬嗣(ふゆつぐ)らによって撰上された。833年(天長10)右大臣清原夏野らによって補訂が行われ,その後も割注など加筆された部分がある。上・中・下巻からなり,年中・臨時の行事を含むが,もとは現在より行事数が多かったと推定される。「新訂増補故実叢書」「神道大系」「群書類従」所収。

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旺文社日本史事典 三訂版 「内裏式」の解説

内裏式
だいりしき

平安初期,宮中の儀式を記した書
全3巻で,上中2巻は恒例の行事,下巻は臨時の儀式を記す。嵯峨天皇の命で,821年に藤原冬嗣らが編纂し,833年に清原夏野らが改訂した。宮中儀式の基本として珍重された。

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改訂新版 世界大百科事典 「内裏式」の意味・わかりやすい解説

内裏式 (だいりしき)

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世界大百科事典(旧版)内の内裏式の言及

【小野岑守】より

…空海と相許した詩友で,〈白雲の人,天辺の吏,何れの日か念(おも)うことなからん〉という詩(《性霊集》一)を贈られ,自分も帰休間遊の際に,〈言を寄す陵藪の客,大隠は朝市に隠るるものを〉(《経国集》十)と詠んで贈った。延暦以来の23人の詩を集め《凌雲集(りよううんしゆう)》を撰して序を書き(814),儀典行事の新式を定め《内裏式》を撰して序を作った(821)。民衆の凶作に苦しむのを見て貯穀を上表し(823),九州の旅路に続命院を建てて旅人の困苦を救おうとして解状(げじよう)をさし出した(天長年間)。…

【内裏儀式・内裏式】より

…平安初期の宮中儀式書。《本朝法家文書目録》には〈内裏儀式一巻〉〈内裏式三巻〉とあるが,現在は両書とも残欠本しかない。その目録と現行本および逸文を総合してみると,《内裏儀式》を基に補正したものが《内裏式》かと思われるが,後世両書を混同している例も少なくない。…

※「内裏式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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