内内(読み)ないない

精選版 日本国語大辞典 「内内」の意味・読み・例文・類語

ない‐ない【内内】

[1] 〘名〙
① 外から見えない内部内側
※中院本平家(13C前)四「ないないのたちのあるさまも、無勢にてはかなふまじ」
② (形動) 表向きでないこと。人に秘していること。また、そのさま。うちわ内密
※玉塵抄(1563)五五「よいむこをとりたいと思て内々の心の中にたづぬるぞ」
※虎明本狂言・二人大名(室町末‐近世初)「なひなひの約束で御ざる程に」
[2] 〘副〙
物事をこっそりとするさまを表わす。おもてだたず。ひそかに。うちうち。
※浜松中納言(11C中)一「ないない承りてこそ参り来め」
表面には出さないで、心中ひそかに思うさまを表わす。内心では。心の中では。
※書陵部本春のみやまぢ(1280)五月六日「ないないは百日の御心ざしながら」
③ (「内々は」の形で) 実のところ。実際は。
※平家(13C前)九「内々は六七十人してあげおろす船を、只一人しておしあげおしおろす程の大力也」
[補注]中古では「うちうち」が一般であったが、のち字音で「ないない」というようになったと思われる。

うち‐うち【内内】

[1] 〘名〙
① 家の中。家庭の内部。
※竹取(9C末‐10C初)「うちうちのしつらひには、いふべくもあらぬ綾織物に絵をかきて」
② 表立たないこと。また、そのさま。うちわ。私ごと。わたくしざま。
※宇津保(970‐999頃)楼上上「うちうちにきこえ給ふ事を〈略〉いきあひて語れば」
③ 心のうち。うち。
源氏(1001‐14頃)紅葉賀「うちうちのありさまはしり給はず」
[2] 〘副〙 ないない。ひそかに。
※源氏(1001‐14頃)紅葉賀「つれなくて、うちうちしのび給ふかたがた多かめるを」

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デジタル大辞泉 「内内」の意味・読み・例文・類語

うち‐うち【内内】

[名]
表立てないこと。内輪うちわ。ないない。「内内で式をすます」
家の中。
「―のしつらひには」〈竹取
心のうち。
「―のありさまは知り給はず」〈・紅葉賀〉
[副]表立たずに。こっそり。内密に。
「―よく習ひ得て差し出でたらんこそ、いと心憎からめ」〈徒然・一五〇〉
[類語]内輪内内ないない内部内密こっそり内幕内裏うちうら内緒内分内聞内情内実ひそか忍びやかそっと秘密内証隠密おんみつ極秘ごくひ厳秘げんぴ丸秘まるひ機密枢密すうみつ天機機事密事秘事暗部隠し事秘め事みそか事内緒ないしょ秘中の秘みそ秘めやか

ない‐ない【内内】

[名・形動]
表立てないでひそかに、また、非公式に事を行うこと。また、そのさま。内密。うちわ。「内内の約束」「内内に処理する」
物事の内部、内側。
「―のたちのありさま」〈平家・四〉
[副]
表面に出さないさま。ひそかに。内密に。うちわに。「私にだけ内内知らせてくれた」
心の中でひそかに思うさま。内心では。心の中では。「遭難したのではないかと内内心配していた」
[類語]隠密おんみつ極秘ごくひ厳秘げんぴ丸秘まるひ機密枢密すうみつ天機機事密事秘事暗部隠し事秘め事みそか事内緒ないしょ秘中の秘みそ内緒内証内密内分内聞秘密内内うちうち内輪内部こっそり内幕内裏うちうら内情内実ひそか忍びやかそっと

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