典型的な肛門神経症

六訂版 家庭医学大全科 「典型的な肛門神経症」の解説

典型的な肛門神経症
(直腸・肛門の病気)

 20歳のOLですが、2、3年前からおなかが異常に張ってガスが頻繁に出て、自分の肛門においが気になり、他人にもわかってしまうようになったそうです。最近は、職場に行っても同僚ひそひそ話をしたり、手で鼻を押さえるようなしぐさをして、自分を避けるようになって寂しいといいます。

 本人に、「本当に同僚があなたはくさいといったの?」と聞くと「皆がそういっているから間違いない」とのことです。一方、家庭で母親に「私はくさい?」と聞くと、「何よ、変なこといって」と取り合ってくれません。

 そうこうするうちに時々会社を休むようになり、業務成績も落ちるとともに、一人で部屋に閉じこもるようになりました。次第に食欲も低下し、やせてきて心配になり、とうとう肛門科を受診しましたが、大腸肛門の検査をしても病気はなく、消化器症状の治療をしていました。

 しかし、においのことは本人が深く信じ込んでいて改善しないため、精神科のカウンセリングを受けました。それでも相変わらず肛門のにおいが知られてしまうことに苦痛を覚え、仕事に集中できずに会社を退職してしまいました。外見上は病気とは思えないので余計に気の毒ですが、長期の治療が必要です。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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