(読み)ども

精選版 日本国語大辞典 「共」の意味・読み・例文・類語

ども【共】

〘接尾〙
① 名詞・代名詞に付いて、そのものを含めて、同類の物事が数多くあることを示すが、必ずしも多数とは限らないで、同類のものの一、二をさしてもいう。人を表わす場合は「たち」に比べて敬意が低く、目下、または軽蔑すべき者たちの意を含めて用いる。現代では、複数の人を表わすのに用いられることが多い。
古事記(712)中・歌謡大和の 高佐士野(たかさじの)を 七(なな)行く 嬢子(をとめ)杼母(ドモ) 誰をし枕(ま)かむ」
※土左(935頃)承平四年一二月二八日「酒、よきものども持て来て、舟に入れたり」
自称の代名詞、または自分身内の者を表わす名詞に付けて、単数・複数にかかわらず、謙遜した表現として用いる。「私ども」「親ども」など。
※虎寛本狂言・末広がり(室町末‐近世初)「是はいかな事、身共は不念な事を致た」
③ 人を表わす名詞に付いて、相手への呼びかけとする。目下の者に対する時で、単数の場合がある。「野郎ども」など。
※大和(947‐957頃)一五六「嫗ども、いざたまへ。寺に尊き業する、見たてまつらむ」

とも【共】

語素
一対のものが、同類である、または同じ状態である意を表わす。「とも裏」「とも働き」「とも白髪」など。
② 複数のものを表わす名詞に付いて、それが全部いっしょの状態であることを示す。「二人とも」「男女とも」など。
③ 従となるものを表わす名詞に付いて、それが、主となるものに込められていることを示す。こみ。「送料とも」「税金とも」など。

むた【共】

〘名〙 名詞または代名詞に、格助詞「の」「が」の付いた形に接続して、「…とともに」「…のままに」の意の副詞句を構成する。
万葉(8C後)二・一三一「浪の共(むた) 彼寄り此(かく)寄る 玉藻なす 寄り寝し妹を」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「共」の意味・読み・例文・類語

きょう【共】[漢字項目]

[音]キョウ(漢) [訓]とも
学習漢字]4年
〈キョウ〉
いっしょに。ともに。「共演共学共感共存共著共通共闘共同共有共和公共
共産主義共産党のこと。「反共防共容共
〈とも(ども)〉「共共共寝身共諸共もろとも
[名のり]たか

ども【共】

[接尾]
一人称の代名詞、または自分の身内を表す名詞に付いて、謙譲の気持ちを表す。「私と致しましては」
人を表す名詞に付いて、複数であることを表す。「若い者が手伝いに来た」
人を表す名詞に付いて、相手への呼びかけに用いる。
「嫗―、いざたまへ」〈大和・一五六〉
たち[用法]
[類語]とう等等

とも【共】

同じであること。同一。「コートのドレス」「の生地」
一緒。また、同時。「起居をにした仲」

㋐名詞の上に付いて、一対のものが同類である、また、同じ性質であるという意を表す。「働き」「切れ」「ぶた
㋑名詞の下に付いて、それが一緒に込められている意を表す。「送料一〇〇〇円」「付録五〇〇円」
㋒複数を表す名詞に付いて、それが全部同じ状態であることを表す。「二人学生だった」「男女若かった」→共に

ぐち【共】

[接尾]《近世上方語》名詞に付いて、…とともに、…ごと、などの意を表す。
台子だいすの湯もたぎってあろ。釜―そっと取ってこい」〈浄・手習鑑

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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