共鳴ラマン散乱(読み)キョウメイラマンサンラン

化学辞典 第2版 「共鳴ラマン散乱」の解説

共鳴ラマン散乱
キョウメイラマンサンラン
resonance Raman scattering

ラマン散乱において,入射光エネルギーを測定物質の電子励起エネルギーに一致させると,共鳴効果によりラマン散乱効率が1万倍以上に増大する.これを共鳴ラマン散乱という.共鳴している励起状態基底状態の間の電子振動遷移に活性なモードのみに共鳴効果が現れるため,高感度で高選択性という特徴をもつ.また,共鳴ラマン散乱では,非共鳴ラマン散乱で用いられる分極率近似にもとづく選択則や偏光則は破たんする.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の共鳴ラマン散乱の言及

【ルミネセンス】より

… ルミネセンスは自然放出の発光であるが,発光体を共鳴器中に置き十分な励起を行えば,誘導放出を起こさせ,さらにレーザーとして発振させることができる。また,ラマン散乱の散乱光は,入射光に対して一定の偏光や位相の関係をもつことがルミネセンスの発光とは異なるが,ラマン散乱の入射光光子のエネルギーが物質の準位間のエネルギー差と一致する共鳴ラマン散乱では光励起のルミネセンスと区別がなくなる。【三須 明】。…

※「共鳴ラマン散乱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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