共通イオン効果(読み)きょうつういおんこうか(英語表記)common-ion effect

日本大百科全書(ニッポニカ) 「共通イオン効果」の意味・わかりやすい解説

共通イオン効果
きょうつういおんこうか
common-ion effect

酸解離、錯生成、沈殿生成などの溶液反応の平衡式A++B- ABにおいて、A+あるいはB-イオン濃度を当量関係より高くして平衡を右に移動させることをいう。たとえば、塩化ナトリウムNaClの飽和水溶液に塩化水素ガスHClを吹き込むと、溶液中のCl-イオン濃度が増加して塩化ナトリウムの沈殿生成反応が進行する。重量分析、水素イオン濃度pH)の調整、物質精製などにこの原理は利用されることが多い。

[岩本振武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「共通イオン効果」の意味・わかりやすい解説

共通イオン効果
きょうつうイオンこうか
common-ion effect

ある種のイオンを含む溶液に,それと同じイオン (共通イオン) を放出する物質を外から加えると,共通イオンの相手のイオンの濃度を減少させるような平衡移動が起る (ル・シャトリエの法則 ) 。この効果を共通イオン効果という。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android