一般的には、夫のみならず、家庭内において妻の位置にある女性も社会的な労働に従事すること。しかし、この限りにおいては、第二次世界大戦前からほとんどの農民家族や小零細企業においては、女性が有力な労働力であった。近年、注目を浴びているのは、妻の賃労働者化による共働きの増加である。
わが国においては、高度成長期以来、女子雇用者は大幅に増加し続け、総務庁(現総務省)統計局の「労働力調査」によると、1984年(昭和59)には1500万人を突破し、60年の738万人に対してほぼ2倍に達している。2000年(平成12)になるとさらに増加して2700万人を超えた。とくに、有配偶女子の雇用の増大が著しく、75年以来、有配偶者の雇用が未婚者を上回るようになっている。しかし、既婚女性による雇用の圧倒的多数はパートタイムの形態にある。このような妻の賃労働者化は、一方で、企業の側が安価な労働力を求めたこと、他方、労働者家族の側でも、生活費の補助や耐久消費財や住宅などのローンの返済、教育費の高騰を埋め合わせるために、また生きがいある生活を求めて就労意欲が高まったことなどを主要な原因とするものであった。
[湯浅良雄]
『三枝佐枝子著『共働きの人間学』(1980・TBSブリタニカ)』
既婚女性が家事・育児以外になんらかの社会的生産の場で働くこと。これは歴史的にみれば,今日考えられているほど特別なことではなく,ごくあたりまえのことであった。日本の女は伝統的に農婦や漁婦として働いてきたし,世界的にみても,共働きが社会の常識的前提となっている文化圏がある。その意味では,共働きは女性の普遍的な存在様式であって,じつは専業主婦のほうが,高度成長期以降広く一般庶民に定着した特殊な存在様式なのである。現代の共働きの特徴は,(1)被雇用労働者としての就労の増大であり,(2)生きがい追求意欲に動機づけられた共働きの増大である。その背景としては,(1)一人の女性が一生の間に産む子どもの数が減って育児に拘束される期間が短縮し,また平均寿命が延びたため,人生の中期に長期間の可働年月が出現するようになったこと,(2)女性の経済的・社会的自立志向の高まりとともに,女性の専門職領域(教員,看護婦など)が徐々に確立されてきたこと,(3)家事,育児サービスの商品化が進んだこと,等が挙げられよう。共働きは,職場で社会的意識を身につける可能性や夫婦間の対等化の可能性という意味で,有意義であるが,実際に共働きを継続するうえで出会う困難は非常に多い。
→主婦 →女性労働
執筆者:船橋 恵子
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