六観音(読み)ろっかんのん

精選版 日本国語大辞典 「六観音」の意味・読み・例文・類語

ろっ‐かんのん ロククヮンオン【六観音】

仏語。六道にいて、衆生を救うという六体の観世音菩薩。地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の六道に配置された観音。すなわち、地獄以下の六道に応じて順次、古くは大悲大慈・師子無畏・大光普照・天人丈夫・大梵深音の六観音とされたが、密教では聖・千手馬頭・十一面・准胝(じゅんでい)如意輪(にょいりん)の六観音とも、准胝の代わりに不空羂索をさすともいい、また、千手・聖の三観音を入れかえる説もある。
※日本紀略‐長徳元年(995)四月二七日「書写大般若経。六観音像。可疾疫之灾

ろく‐かんのん ‥クヮンオン【六観音】

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デジタル大辞泉 「六観音」の意味・読み・例文・類語

ろく‐かんのん〔‐クワンオン〕【六観音】

六道それぞれの衆生を救う6体の観音密教では、地獄道しょう観音餓鬼道千手観音畜生道馬頭観音修羅道十一面観音人間道准胝じゅんでいまたは不空羂索ふくうけんじゃく観音天道如意輪観音を配する。ろっかんのん。

ろっ‐かんのん〔ロククワンオン〕【六観音】

ろくかんのん(六観音)

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世界大百科事典(旧版)内の六観音の言及

【観音】より

…しかし10世紀ころを境として律令国家の衰退と藤原摂関体制成立にともなう社会変動が顕著となり,旧秩序解体の不安の下で,来世における個人の救済を志向する浄土教が発達するにつれ,観音信仰も六道抜苦の来世信仰としての性格を帯びるようになる。こうした来世的観音信仰は,まず菅原道真,源兼明など藤原氏に疎外された10世紀の没落貴族を中心に形成され,やがて六観音信仰に発展した。六観音とは天台宗の《摩訶止観》に説くところで,六道の煩悩を破砕するという大悲・大慈・師子無畏・大光普照・天人丈夫・大梵深遠の6体の観音のことである。…

【如意輪観音】より

…サンスクリット名Cintāmaṇicakraの訳で,変化観音に属し,六観音(聖,十一面,千手,不空羂索,馬頭,如意輪)の一つ。観音が如意宝珠もしくは法輪の功徳をもって衆生の苦を救い,宝財を施して願望を意の如く成就せしめんがために変化したものとされる。…

※「六観音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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