六段(読み)ろくだん

精選版 日本国語大辞典 「六段」の意味・読み・例文・類語

ろく‐だん【六段】

[1] 〘名〙
① 六番目の段。また、段が六つあることやその六つの段。
※歌舞伎・名歌徳三舛玉垣(1801)四立「ト五郎又・太郎下座へ這入る。誂いの胡弓入の六段になる」
[2] 箏曲八橋検校作曲。一段五二拍子の段六個からなる純器楽曲。元来は箏の独奏曲だが、のち三味線尺八の曲にも編曲され、それらと合奏することもある。邦楽中数少ない絶対音楽の代表曲。現行の「六段」は、北島検校編曲説もある。六段の調。六段菅掻。

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デジタル大辞泉 「六段」の意味・読み・例文・類語

ろくだん【六段】

箏曲そうきょく八橋検校やつはしけんぎょう作曲。52小節からなる段を六段集めた純器楽曲。のちに替手かえでほか、三味線や尺八の曲にも編曲され、それらと合奏することもある。六段の調しらべ。→段物

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改訂新版 世界大百科事典 「六段」の意味・わかりやすい解説

六段 (ろくだん)

箏曲・地歌の曲名。《六段のしらべ》《六段すががき》などともいう。《糸竹初心集》《糸竹大全》などに収載される《すががき》を原曲として,6段構成の陰音階(平調子・本調子)の器楽曲に発展させたもので,箏曲としては八橋検校の作曲と伝えられるが異説もある。各段52拍子(104拍)であるが,初段のみ2拍子多い。信州松代に伝えられる八橋流では9段構成(7段以降は4段以降の反復)。段物ないし調べ物の代表曲で,組歌の表組に付随する付物として教習・伝習された。三味線曲化したものは,深草検校の作曲と伝えられ,前後に歌が付いて長歌物とも扱われたが,手事物の分類の成立期には,その代表曲とされた。これに,国山勾当(こうとう)が三下りの替手を付けたが,さらにそれを箏に移したものが,箏の雲井調子ないし中空調子の替手である。山田流箏曲でも,前後に歌を付けることもある。《秋風の曲》の前弾や,《相生の曲》などと打ち合わせるほか,初段は山田流箏曲の《ほととぎす》《住吉》《臼の声》などの合の手に〈地〉として合わされる。また,5段目が《五段砧》の本手の5段目にとり入れられる。なお,沖縄にも陽音階のものが流伝している。この曲の旋律パターンは広く知られ,箏曲・地歌のみならず,邦楽曲全般に及ぼす影響が大きい。
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百科事典マイペディア 「六段」の意味・わかりやすい解説

六段【ろくだん】

箏曲の曲名。伝八橋検校作曲。《六段調(ろくだんのしらべ)》とも。段物の代表曲であるばかりでなく,箏曲中最も広く知られている曲で,六つの段からなり,初段を除いて各段の拍数が一定している。他の箏曲,長唄端歌などにこの曲の一部が利用されている例が多い。
→関連項目菅掻

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「六段」の意味・わかりやすい解説

六段
ろくだん

箏曲(そうきょく)の曲名。『六段の調(しらべ)』の略称。八橋検校(やつはしけんぎょう)(1614―85)作曲。六つの段落でできた器楽曲の意で、『八段の調』『九段の調』などとともに、「段物」「調物」とよばれる。声楽曲の多い箏曲のなかで、純粋な器楽曲としてつくられたが、後世、前唄(まえうた)と後唄(あとうた)がつくられ、それらをつけて演奏する場合も多い。音楽構成としては、各段とも52拍あり、旋律のまとまりは五拍、四拍、三拍などあり、複雑な拍子構成になっている。各段ともゆっくり始まり、しだいに速くなり、ふたたびゆっくり終わる日本的なテンポ進行になっている。同じ八橋検校の『乱(みだれ)』とともに、箏曲のなかでももっともポピュラーな作品。

[茂手木潔子]

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