六家集(読み)ろっかしゅう

精選版 日本国語大辞典 「六家集」の意味・読み・例文・類語

ろっ‐かしゅう ロクカシフ【六家集】

平安末期から鎌倉初期にかけての代表的な歌人六人の私家集総称藤原俊成の「長秋詠藻」、藤原良経の「秋篠月清集」、慈円の「拾玉集」、西行の「山家集」、藤原定家の「拾遺愚草」、藤原家隆の「壬二(みに)集」の六つをいう。抄出本に牡丹花肖柏の「六家抄」がある。

ろく‐かしゅう ‥カシフ【六家集】

りっか‐しゅう リクカシフ【六家集】

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デジタル大辞泉 「六家集」の意味・読み・例文・類語

ろっ‐かしゅう〔ロクカシフ〕【六家集】

平安末期から鎌倉初期の代表的な歌人六人の私家集の総称。藤原俊成の「長秋詠藻ちょうしゅうえいそう」、西行の「山家さんか」、藤原定家の「拾遺愚草」、藤原良経ふじわらのよしつねの「秋篠月清あきしのげっせい」、藤原家隆の「壬二みに」、慈円の「拾玉集」。りっかしゅう。

りっ‐かしゅう〔リクカシフ〕【六家集】

ろっかしゅう(六家集)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「六家集」の意味・わかりやすい解説

六家集
ろっかしゅう

「りっかしゅう」ともいう。『長秋詠藻(ちょうしゅうえいそう)』(俊成(しゅんぜい))、『秋篠月清集(あきしのげっせいしゅう)』(良経(よしつね))、『拾玉(しゅうぎょく)集』(慈円)、『山家(さんか)集』(西行(さいぎょう))、『拾遺愚草(しゅういぐそう)』(定家(ていか))、『壬二(みに)集』(家隆(いえたか))と、新古今時代の代表的歌人6人の家集。「六歌仙」『古今和歌六帖(じょう)』などの「六」に倣って6人を選ぶ。室町末期ごろ集成が行われたと考えられ、牡丹花肖柏(ぼたんかしょうはく)による抄出本『六家抄』もある。『類題六家集』『独看(どくかん)和歌集』(後鳥羽(ごとば)院の詠も加わる)の類題集の板行もみられ、また『六家抄注』もあり、後世への影響も大きなものがあった。

[後藤重郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「六家集」の意味・わかりやすい解説

六家集
ろっかしゅう

平安時代後期~鎌倉時代前期に活躍し,『新古今和歌集』の主要歌人とされた6人の家集の総称。藤原俊成の『長秋詠藻』,藤原良経の『秋篠月清集』,慈円の『拾玉集』,西行の『山家集』,藤原定家の『拾遺愚草』,藤原家隆の『壬二 (みに) 集』をさす。6人を選んだのは,六歌仙にならってのことであろう。室町時代にはすでにこの呼称が生れていたらしい。連歌作者の肖柏は六家集の秀歌選を編み『六家抄』と名づけた。細川幽斎の書写させた『六家集』が江戸時代初期に板行されて流布したが,必ずしも善本とはいえない。『類題六家集』も出版されており,『三十六人集』 (三十六歌仙家集) とともに,私家集の叢書の代表として広く読まれたことが知られる。

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とっさの日本語便利帳 「六家集」の解説

六家集

鎌倉初期の代表的歌人の私家集。▽『長秋詠藻』(ちょうしゅうえいそう。藤原俊成)、『秋篠月清集』(あきしのげっせいしゅう。藤原良経)、『拾玉集』(しゅぎょくしゅう。慈円)、『拾遺愚草』(しゅういぐそう。藤原定家)、『壬二集』(みにしゅう。藤原家隆)、『山家集』(さんかしゅう。西行)

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世界大百科事典(旧版)内の六家集の言及

【私家集】より

…また,詞書と和歌と相まって,《伊勢集》《篁(たかむら)物語》のような恋物語的なものや《成尋阿闍梨母集(じようじんあじやりははのしゆう)》のような日記,紀行的なものなどは,物語や日記,紀行文学などへ発展する萌芽を内蔵している。和歌史の展開に応じて,院政期のころから,私家集は文芸本位の傾向が顕著となり,鎌倉時代にかけて,《散木奇歌(さんぼくきか)集》(源俊頼)や六家集と呼ばれる《長秋詠藻》(藤原俊成),《山家(さんか)集》(西行),《拾遺愚草》(藤原定家),《秋篠月清(あきしのげつせい)集》(藤原良経),《拾玉集》(慈円),《壬二(みに)集》(藤原家隆)など,質量ともに優れたものが生まれた。《金槐和歌集》(源実朝),《建礼門院右京大夫集》もまた,当時の特異な家集である。…

【壬二集】より

藤原家隆の他撰歌集。〈六家集〉の一つ。1245年(寛元3)ころに原撰本が成立。…

【六歌仙】より

…しかし《古今集》序に記されたということと藤原定家の称揚により,後世にいろいろの形で影響が見られる。すなわち,三十六歌仙というのも6を2乗した数であり,〈六家集〉――藤原俊成《長秋詠藻》,藤原良経《秋篠月清集》,慈円《拾玉集》,西行《山家集》,藤原定家《拾遺愚草》,藤原家隆《壬二集》の六つの家集を集成したもの――というのも,六歌仙の呼称を変形踏襲したものである。また,黒主を悪人にしたてた謡曲《草紙洗(そうしあらい)》のほか《関寺小町》《卒都婆小町》など,六歌仙に材をとった謡曲は多く,《六歌仙容彩(すがたのいろどり)》など歌舞伎にも,六歌仙に材をとった作が多い。…

※「六家集」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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