六地蔵(仏教)(読み)ろくじぞう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「六地蔵(仏教)」の意味・わかりやすい解説

六地蔵(仏教)
ろくじぞう

六道(地獄(じごく)・餓鬼(がき)・畜生(ちくしょう)・修羅(しゅら)・人間・天上)のそれぞれにあって、衆生(しゅじょう)の苦悩を救済する地蔵菩薩(じぞうぼさつ)のこと。その名称・形像は典籍によって異なるが、一般には、地獄道を化す金剛願(こんごうがん)、餓鬼道を化す金剛宝、畜生道を化す金剛悲(ひ)、修羅道を化す金剛幢(とう)、人間道を化す放光(ほうこう)、天上を化す預天賀(よてんが)地蔵の総称とされる。日本では平安中期以来、六地蔵の信仰が盛んになり、岩手県・中尊寺、茨城県・六地蔵寺、新潟県・光照寺、京都府・大善寺など各地に六地蔵が安置された。六地蔵には、寺院・路傍墓地などに祀(まつ)られた六体の地蔵や、あるいは地蔵堂に祀られたもの、六か所の寺院や堂に安置されるもの、また各所地蔵尊のうちから六か所を選んだものなどがある。また石灯籠(いしどうろう)などに6種の地蔵を刻んだ場合などもある。

[佐々木章格]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android