公民科(読み)こうみんか

精選版 日本国語大辞典 「公民科」の意味・読み・例文・類語

こうみん‐か ‥クヮ【公民科】

〘名〙
旧制中学校高等女学校実業学校師範学校などの学科目の一つ。公民②として必要な政治経済・社会についての知識を修得させることを目的とした学科。昭和六年(一九三一)から従来の法制経済科に代えて設けられた。〔中学校令施行規則(昭和六年)(1931)〕
② 平成元年(一九八九)に新設された高等学校教科現代社会倫理、政治経済の三科目で構成されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「公民科」の意味・わかりやすい解説

公民科
こうみんか

1989年(平成1)3月告示の高等学校学習指導要領改訂によって、それまでの社会科にかわり、地理歴史科とともに高等学校に設けられた教科。公民科は、(1)現代の諸課題をとらえ考察し、選択・判断するための概念理論について理解するとともに、諸資料から倫理的主体などとして活動するために必要な情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能、(2)現代社会の諸課題の解決に向けて、選択・判断の手掛りとなる考え方や公共的な空間における基本的原理を活用して多面的・多角的に考察、構想する力、(3)よりよい社会の実現を視野に、現代の諸課題を主体的に解決しようとする態度育成することを通して、平和で民主的な国家および社会の有為な形成者として必要な公民としての資質能力を統一的に育成することを目標としている。

 この教科は、必修科目の「公共」(2単位)を学習したのち、選択科目である「倫理」(2単位)、「政治・経済」(2単位)を学習できるように、これら3科目で構成されている。公民科と地理歴史科とは、それぞれの教科の垣根を高くして並立するのではなく、両教科が相携えて、生徒の科学的社会認識と公民としての資質・能力を育成することが期されている。

[永井滋郎・樋口雅夫 2023年12月14日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「公民科」の意味・わかりやすい解説

公民科
こうみんか

第2次世界大戦前における中等学校の教科目。国または地域社会の構成員として,社会生活に必要な知識や資質の育成を目指す学科。政策的には,1920年「法制上ノ知識其ノ他,国民公民トシテ心得ベキ事項ヲ授ケ,又経済観念ノ養成ニ力」めるために実業補習学校に適当な学科目を設けることを定めたのが最初で,24年にはその教授要綱と教授要旨を定めた。また 29年の文政審議会の答申に基づき,30~32年に中等諸学校と師範学校にも,「法制及経済」に代って公民科が設けられた。

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世界大百科事典(旧版)内の公民科の言及

【公民教育】より

…フランスの絶対王政下でラ・シャロテーが宗教的権力から国家へ教育権を移そうとし,市民性の教育を主張しても,その実現は市民革命をまたなくてはならなかった。 日本で公民教育が本格的にとりあげられるのは,1927年の普通選挙法による総選挙実施のころからであり,31年〈公民科〉が中学校に設置されてからである。ただしそれ以前の1890年から,実業補習学校において職業教育に付随して〈公民トシテ心得ヘキ事項〉を教えようとする公民教育への意向がみられる。…

※「公民科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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