公債依存度(読み)こうさいいぞんど

改訂新版 世界大百科事典 「公債依存度」の意味・わかりやすい解説

公債依存度 (こうさいいぞんど)

一般会計歳入中に占める国債発行収入の割合をいう。日本の国の一般会計は,1947年度から64年度までの18年間,公債を発行しない均衡予算決算では黒字)を保ってきた。65年度の補正予算ではじめて公債を発行してから2006年現在まで毎年公債発行が続いている。公債依存度は,1966年度の14.9%から70年度4.2%の水準まで低下したが,71年度12.4%となり,石油危機,それに続く不況から75年度以降急激に高まり,25%を上回る水準を続けたが,80年代に入ると税の自然増収の結果,減少傾向となり,2005年度は41.8%である。公債には,日本の財政法もいうように,公共事業などの財源として発行される公債すなわち建設公債と,その限度を上回る公債すなわち赤字公債がある。建設公債には,政府資本形成を現世代と将来世代の負担の公平を図りながら実施するという積極的な役割もあるが,赤字公債には,深刻な不況に対処して財政消費をふやすという短期的な意義しかない。日本の公債依存度のうち赤字公債による分はその半分を占めている。75年度以降の公債発行額の急増で,80年代に入って日本の財政問題では,いかにこの赤字公債依存度をゼロにするかが最大課題になっている。
公債 →国債
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「公債依存度」の意味・わかりやすい解説

公債依存度
こうさいいぞんど
proportion of total revenue supplied by bond

国の一般会計予算に占める国債発行額の割合。 1970年代後半に入って赤字国債の大量発行が始ったのに伴って急激に上昇,1979年度当初には 39.6%にも達した。国債への依存は財政の自由度が失われるほかに将来の利払い負担で財政が破綻するため,大蔵省は「赤字国債依存体質からの脱却」を最大の政策目標に掲げてきびしい歳出抑制を実施した。 80年度,84年度,90年度と目標を先送りしたが,90年度にはついに 15年ぶりに赤字国債発行を回避した。さらに将来は公債依存度を5%程度以下まで引下げるなどの目標も設定された。しかし,バブル経済崩壊による税収の落込みで建設国債増発を迫られ,92年以降再度上昇した。

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百科事典マイペディア 「公債依存度」の意味・わかりやすい解説

公債依存度【こうさいいぞんど】

一般会計歳入に占める公債発行収入の割合をいう。通常,依存度を引き下げると,公債の利払いや償還に要する経費が削減され,また将来の財源調達を税から公債に振り替える余裕が増大するため,弾力的な財政運用が可能となる。

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