八院村(読み)はちいんむら

日本歴史地名大系 「八院村」の解説

八院村
はちいんむら

現大木町上八院、大川市中八院・下八院に比定される中世の村。三潴庄の内で、鎌倉期に白垣しらかき郷から分れて成立したとみられる。正応四年(一二九一)九月二日、鎌倉幕府は肥前国の御家人松浦山代又三郎栄に、文永の役の勲功の賞として宛行っていた肥前国恵利村(現佐賀県三日月町か)の代所として「八院菅藤三入道唯仏跡田地公事足拾三町在牟田・屋敷分弐拾三箇所・牟田薗九箇所」を与えている(「関東下知状」山代文書/鎌倉遺文二三)。八院を名字の地とする本主唯仏の所領であったが、悪党の罪科によって鎌倉幕府から没収された。山代栄と白垣弥藤三宗氏が「筑後国(白垣郷カ)内八院村田地九段三杖・屋敷壱所」をめぐり相論を行ったが、永仁六年(一二九八)五月二六日、栄の勝訴となった(「鎮西下知状」同文書/鎌倉遺文二六)。山代・白垣両氏の紛争は以後も続き、正安二年(一三〇〇)三月一二日、鎮西探題北条実政は「白垣郷内両堤東□南新田牟田在家」を白垣弥次郎入道道念の所領と認めたうえで、山代栄が知行する八院村との境界を北池以南とした(「鎮西探題御教書」同文書/鎌倉遺文二七)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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